『砂漠でサーモン・フィッシング』(C) 2011 Yemen Distributions Ltd., BBC and The British Film Institute.All Rights Res

英国でベストセラーを記録した小説を、ユアン・マクレガー主演、『ギルバート・グレイプ』のラッセ・ハルストレム監督で映画化した『砂漠でサーモン・フィッシング』が12月8日(土)から日本公開される。タイトルの通り、“砂漠で鮭釣りをする”という奇想天外な計画を描いた作品だ。

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本作は、ポール・トーディの小説『イエメンで鮭釣りを』(邦訳:白水社刊)を映画化したヒューマンドラマ。真面目でサエない水産学者アルフレッド・ジョーンズ(マクレガー)が、イエメンの大富豪から「砂漠で鮭釣りがしたい」という奇想天外な依頼を受け、政治家や様々な人々の思惑に翻弄されながら、前代未聞のプロジェクトに挑む姿を描いている。

本作はフィクションだがここ数年、観客が思わず“不可能”と思ってしまうような状況に立ち向かう人々の姿を描いた映画が多く公開され、好評を集めている。2010年製作の『英国王のスピーチ』は内向的で吃音に悩むジョージ6世が、妻や言語療法士の協力を受けて完璧な演説を行うまでを実話を基に描き、第83回アカデミー賞に輝いた。現在公開中の『アルゴ』は、長年、米国政府が機密事項にしてきた事実を基にした映画で、架空のSF映画をデッチあげることによって人質を救出するという“ありえない作戦”を描いて高い評価を得た。

もちろん、実現や克服がラクな問題を描いていては良い映画にはならない。しかし、難題の解決方法が現実的でなければ、観客を魅了することができないだろう。本作は、水産学者を主人公にし、難題に挑む過程を整理して提示することで説得力のあるドラマを描き出した。ちなみに脚本を手がけたのはスラム街に育った子がクイズ番組で百万長者になるという“ありえない”物語を描いた『スラムドッグ$ミリオネア』脚本家サイモン・ビューフォイ。彼は原作小説について「いままで読んだことのない不思議な構造の小説だった。脚本化は難しかったが本当に楽しかった」と言い、ハルストレム監督は「長い映画人生の中で最高の脚本だ。まるで寓話のようで、奇想天外な要素もありながら、実生活に根付いた感情や人間関係もある」と語る。

砂漠で魚釣りをするためには、どんな困難があり、どれだけの予算がかかり、どのような手順が必要なのか? 映画『砂漠でサーモン・フィッシング』ではその答えがすべて描かれているという。

『砂漠でサーモン・フィッシング』
12月8日(土)丸の内ピカデリー他 全国ロードショー