龍真咲   撮影:奥村達也 龍真咲   撮影:奥村達也

1974年に宝塚歌劇で初演された、池田理代子原作の『ベルサイユのばら』。当時“ベルばらブーム”に火をつけるほどの大ヒットを記録し、その後も再演が重ねられてきた宝塚の代名詞的作品が、1月より月組で上演される。主人公を変えたさまざまなバージョンがある中でも今回は『オスカルとアンドレ編』。そこで、月組を率いるトップスター・龍真咲(りゅう・まさき)に、この大作にかける想いを訊いた。

宝塚歌劇月組『ベルサイユのばら』チケット情報

2001年に「フェルゼンとマリー・アントワネット編」で初舞台を踏んだ龍は「強い巡り合わせとご縁を感じます」と目を輝かせる。しかも今回挑むのは、男装の麗人オスカルと、オスカルを愛するアンドレの二役。準トップスター・明日海(あすみ)りおとの役替わりで演じるのが見どころのひとつだ。オスカルを演じるにあたっては、男役ならではの壁を感じたと語る。「女性でありながら男として生きる男装の麗人。男役のキャリアを積んできた中で、この役柄を演じるのは難しいと感じました。だからこそ、手応えも大きいです」。

舞台は王妃マリー・アントワネットが生きた18世紀のフランス。その絢爛豪華な世界観や登場人物たちのさまざまな愛を巡るストーリーが、宝塚の雰囲気にぴたりとハマる。だからこそファンが多く、期待も大きい。「原作ファンの方、宝塚歌劇の『ベルサイユのばら』ファンの方、そしてそのどちらも愛する方、それぞれきっと心は同じ。キャラクターの心情やセリフについて強いイメージを持たれていると思うので、より理想に近づけられるように心がけたいです。プレッシャーも大きいですが、この二役を演じられることを幸せに思い、どんなに苦しんでも作り上げたいと思います」。

初演から繰り返し上演されてきた本作だが、今回はさらにクリーンアップ。パワーアップした月組バージョンが観られるという。「説明ゼリフがほとんどなくなっていますし、プロローグがまた新しく作られていますので、今までご覧になられた方も新鮮な目で観て頂けると思います。あと、馬車に乗って飛んでいくラストシーンがいちばんの見せ場。かなり高いところまで昇っていくので、2階席のお客様にも喜んで頂けると思います」。

前作の『ロミオとジュリエット』で、龍を中心とする月組がスタート。そこで大きな一歩を踏み出せたことが“組”としての自信に繋がっている。「『ロミオとジュリエット』を経て、月組のエネルギーがさらに上昇しています。来年はもっと組の一人一人の顔を観て頂けるように、下級生も個々をアピールしてほしいです。私自身は、オスカルと同様、自分の信念をまっとうして進んでいきます」。

1月1日(火)から2月4日(月)まで兵庫・宝塚大劇場、2月15日(金)から3月24日(日)に東京宝塚劇場にて。チケットぴあでは東京公演のインターネット先行抽選を12月25日(火)11:00より受付スタート。

取材・文:黒石悦子