『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』(C)2012 TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED.

なにかと話題を呼んだ2012年のイギリス。映画産業が盛んなこの国で、2012年を彩った作品とは?

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2012年は、女王陛下在位60周年、ロンドン・オリンピック、ジェームズ・ボンド50周年、そしてローリング・ストーンズ50周年と大規模な祝賀イベントが続き、イギリスが世界中の話題をさらった年だった。ハリウッド大作が近年好んでロンドン周辺のスタジオやロケ地を使用して撮影するようになったが、この傾向は強まるばかりで英国映画産業にも明るい兆しが。2012年のヒット作『ダークナイト ライジング』『プロメテウス』などがこの最たる例だ。興行的には2012年最大ヒット作は言うまでもなく『007 スカイフォール』。そして2011年の『英国王のスピーチ』のヒットの後にぴったりはまったのは『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』だった。王室から首相と、英国現代史をテーマにした作品のヒットは堅かった。

ダニエル・ラドクリフの“ポスト・ハリー・ポッター”第1弾にあたる『ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館』も予想どおりのヒットとなったが、これと同規模なヒットを放った英国ならではの異色作と言えば『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』。引退した7人の英国人が、インドの旧宮殿を改造したホテルに住み第二の人生と格闘するドラマ。機知にあふれる台詞に笑いと涙を誘うエピソードも満載で、高齢や死というテーマをポジティブに扱いつつも観客に元気をくれる1本だ。出演しているのは、ジュディ・デンチ、マギー・スミスらベテラン俳優たち。熟年層が昼間の上映に足を運び、全国の映画館で密かなロングランを続け、大ヒットにつながった。これに続くヒットの予感を放つのは来年公開の新作『カルテット!人生のオペラハウス』か。老人ホームを舞台にしたダスティン・ホフマンの初監督作だ。

『ぴあ Movie Special 2012-2013』より 

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