天海祐希 天海祐希

今年4月、天海祐希が、劇団☆新感線公演『薔薇とサムライ』以来3年ぶりの舞台に立つ。演目は、三谷幸喜が作・演出を手がける新作『おのれナポレオン』。野田秀樹が初めて自作以外の舞台に出演することでも話題の公演だ。ポスター撮影の現場で、役の扮装をした天海に意気込みを訊いた。

「台本になっていない今の段階から、すでに三谷さんの頭の中には、登場人物やストーリーができあがっているんです」。聞けば、ポスター撮影時に三谷から受けた演技指導が具体的で面白い。「“ナポレオンに魔法をかけてカエルに変えてしまう感じで”とか、“ナポレオンを小さくして、どこかに飛んでっちゃったみたいに”とか。自分は何をやっているんだろう、という疑問や不安はありましたけど、あれがのちのち生きてくるんでしょうね、きっと。そういえば、“この作品はコメディではありません”ともおっしゃっていました。その真意はわかりませんが、どういう方向に進んだとしても、三谷さんを信じてついていきたいと思います」。

三谷の舞台は、2003年の『オケピ!』で経験している。「稽古しているときには気づかないような細かい笑いが仕掛けてあって、驚きました。初日が開いて初めて、“あ、お客さんはここでも笑うんだ!”と。それに、すべての役に深い愛情をもっていらっしゃるのが素敵だと思います」と確かな信頼を言葉にする一方で、こんなエピソードも披露してくれた。「本番中に舞台袖から手を振っている人がいるので、見てみると、それが三谷さん。客席からは見えない角度で、すました顔して、コーヒーかなんかを飲みながら。おかげでこちらは、笑いをこらえるのに必死ですよ! ひどいでしょう?」。

セントヘレナ島に幽閉された際、ナポレオンには連れがいた。天海が演じるのは、その随行者のひとりである軍人モントロン(山本耕史)の夫人役だ。夫人は、どうやら野田扮するナポレオンの愛人でもあったらしい。「“野田さんとラブシーンがありますけど、大丈夫ですか?”と三谷さんに訊かれたので、“もちろんです。何なら、野田さんを持ち上げましょうか?”って。それは冗談としても、純粋に役者として舞台に立つ野田さんと組ませていただくのは、光栄なことです」。

キャストの中では紅一点。「色気を要求されたら、どうしましょう? それが今いちばんマズイと思っていることです」と弱気を見せるが、写真を見る限り、いっさいの不安要素を感じさせない。『おのれナポレオン』は4月6日(土)・7日(日)にプレビュー公演をおこなった後、4月9日(火)から5月12日(日)まで東京芸術劇場 プレイハウスにて上演。チケットぴあでは、無料会員向けWEB抽選先行「プレリザーブ」を1月16日(水)11:00まで受付中。