イベントに登壇したアン・リー、本木雅弘、トラの着ぐるみ姿のしずくちゃん

『ブロークバック・マウンテン』でアジア人として初のアカデミー賞監督賞に輝いたアン・リー監督が、最新作『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』のプロモーションのために来日。16日に行われたジャパン・プレミアに日本語吹替え版キャストの本木雅弘と共に出席した。

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先日発表されたゴールデングローブ賞では作曲賞を受賞し、アカデミー賞には作品、監督、脚色賞などの主要部門を含む11部門にノミネート。1匹のベンガルトラと共に大海原を漂流することになった少年はなぜ生き延びることができたのか? 圧倒的な映像美でそのサバイバルの一部始終を描き出す。

映画の中のパイの漂流さながら、海の上を揺れ動くブルーカーペットの上を歩いたアン・リーと本木。屋外イベントにもかかわらず詰めかけた熱心なファンの声援に手を振って応えていた。

本作についてアン・リーは「4年もかけて制作し、その間に3千人ものスタッフが関わりました」と明かす。それだけに「この映画を完成させることができたということをスタッフ一同、大切なことと考え充実を感じています」と語り、期待が高まるオスカーへ向かう賞レースについても「ノミネートは励みになりますが、完成した後の賞のことはボーナス。この映画に携わり、ストーリーテリングの力をより信じるようになりましたが、世界中の反響が何よりも嬉しいです」と語った。

アン・リーのファンだったという本木は本作についても「全てのシーンに意味を付けつつも自然に演出している」とその手腕に驚嘆。声優を務めるにあたり「何度も味わいましたが、何度噛みしめてもグッと込み上げてくるものがあった」と物語の深みについて語った。アン・リーもまた本木のファンであることを告白。「『おくりびと』だけでなく『シコふんじゃった。』の頃から見ていましたよ。今回、主人公のパイ(の成人パート)に素晴らしい声を与えてくれました」と称賛を送った。

この日は大人気子役のしずくちゃんが花束ゲストとして登壇し、かわいらしいトラの着ぐるみ姿で監督と本木に花束をプレゼント。アン・リーは「今まで見た中で一番可愛いトラです」と顔をほころばせ「ぜひ次回作に出てもらいたいです」とラブコールを送った。

また、15日に大島渚監督が80歳で逝去したことが報じられたが、日本に到着して訃報に接したというアン・リーは「悲しい知らせです」と悲痛な表情。「我々アジアの映画人に多大な影響を下さった監督でした」と語る。本木も20代のときに見た『青春残酷物語』に衝撃を受けたことを明かし「ご冥福をお祈りします」と偉大な映画人の死を悼んだ。

『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』
1月25日(金) TOHOシネマズ 日劇ほか全国公開
※3D/2D同時上映