劇団四季が上演するミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』の東京公演が1月16日、四季劇場[秋]にて開幕した。今回の上演は劇団創立60周年の記念公演と銘打つ。初日に先駆け15日には同劇場にて最終舞台稽古が行われた。
作品は第二次大戦下のオーストリアを舞台に、歌と家族愛で世界の人々を励ましたトラップファミリー合唱団の実話を基にした世界的名作。家庭教師としてトラップ家に赴いた修道女見習いのマリアが、妻を亡くしたトラップ大佐に厳しく育てられている7人の子どもたちに歌を教え、子どもたちのみならず大佐の心をも開いていく物語だ。劇中に登場する「ドレミの歌」「私のお気に入り」「エーデルワイス」など、もはやスタンダードの域に達している名曲群も魅力だ。1959年のブロードウェイ初演より世界中で上演され続けている作品だが、劇団四季が上演しているのは『キャッツ』『オペラ座の怪人』のアンドリュー・ロイド=ウェバーがプロデュースし2006年にロンドンで初演されたバージョン。同プロダクションの日本初演となった2010~2011年の東京公演は3月12日を千秋楽としていたが、前日に起きた東日本大震災を受け千秋楽公演が中止。ファンの、カンパニーの思いが残った東京公演が、約2年ぶり、待望の再登場を果たした。
この日主人公のマリア役を務めたのは、初演時から同役を演じている井上智恵。長く同役を演じているだけあり、生き生きと奥行きのあるマリア像を作り上げていた。初演時に比べセリフの間合いや強弱で、マリアのおてんば度もあがり、より愛嬌のあるチャーミングなマリアになった。その井上は「初演からこの作品に携わらせていただき、今回また劇団創立60周年記念公演として上演させていただけることをうれしく思っております。前回の東京公演千秋楽は、前日に起きた東日本大震災の影響で公演を中止せざるを得ない状況でしたが、再び東京に戻ってくることができました。より一層、家族の絆、生きる喜び、平和への祈りを込めて、丁寧にマリアを演じたいと思います」とコメントした。
戦時下を舞台にしているものの、全編に流れるテーマは家族愛という普遍的なもの。憎めないマリアのキャラクター、そしておしゃまで個性的な7人の子どもたちの姿に、観ていて頬がゆるみ温かい気持ちになる、世代を問わず愛される名作を楽しんでほしい。
公演は3月17日(日)公演分までチケットを発売中。3月20日(水・祝)から5月6日(月・祝)公演分は1月27日(日)にチケットを一般発売開始。