(左から)八代亜紀、有村昆

ワーナー・ブラザース創立90周年を記念し、初ブルーレイ化が決定した『ジャズ・シンガー』の発売記念イベントが16日、都内で行われ、歌手の八代亜紀が登場。生バンドを従え、往年の名曲「Fly Me to the Moon」「Cry Me a River」をジャズアレンジで歌い上げた。3月にはニューヨークの名門ジャズクラブで、ジャズ・シンガーとして初の海外公演を行うことも決定しており「『舟唄』『雨の慕情』をジャズアレンジで歌いたい」と抱負を語った。

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世界初のトーキー映画として知られる本作(1927年公開)は、家業を継ぐことを嫌った主人公の青年と、ユダヤ教司祭長である父との対立を背景に、その後ミュージカル・スターとして成功した青年と父との和解をしみじみと描く。劇中に登場する“You ain't heard nothin' yet!”(お楽しみはこれからだ)は、映画史上初のセリフとしてギネスブックにも掲載されている。

演歌歌手として不動の地位を築いた八代だが「私の歌の原点は、ジャズなんです」。15歳で故郷・熊本から上京し、銀座のナイトクラブで歌い始めたといい「ところが、それが父親にバレてしまって…。『不良になった』とものすごく怒られた」と当時を振り返る。それだけに、「今も昔も、父と子の絆や関係は同じだなと思った」と父親との葛藤を抱える本作の主人公に感情移入していた。

この日は映画コメンテーターの有村昆が駆けつけ、『カサブランカ』『燃えよドラゴン』『ダーティ・ハリー』などワーナー・ブラザースが生み出した数々の名作を紹介しながら、その輝かしい歴史を解説。「映画の歴史は技術革新の繰り返し。サイレントからトーキーへと移り変わる記念すべき瞬間を、ブルーレイで見られるなんて、とてもいい時代」と話していた。

『ジャズ・シンガー』ワーナー・ブラザース90周年記念エディション

取材・文・写真:内田 涼