左がラティフ・ヤヒア氏本人。右は映画のポスター。

イラクの独裁者サダム・フセインの長男ウダイ・フセインと、彼の影武者だったラティフ・ヤヒア氏の関係を描いた映画『デビルズ・ダブル -ある影武者の物語-』。来年1月から公開される本作のプロモーションのために来日することになっていたヤヒア氏が、成田空港まで到着しながら入国許可が下りず、予定されていたマスコミによる取材や記者会見が中止となった。

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ヤヒア氏は1964年にバグダッドの実業家の息子として生まれ、エリート学校に入学。そこでウダイとクラスメイトになったことからふたりの関係が始まり、軍に入隊後、容姿が似ているという理由で影武者に起用された。当初は要請を拒んでいたヤヒア氏だったが、1週間にわたって窓のない狭い部屋に監禁され、無理やり承諾させられたという。1987年から1991年までウダイの影武者を務めたヤヒア氏は、その後ヨーロッパへ亡命し、現在はアイルランドで国際法律博士や作家として活動。その影武者としての日々を綴った手記が今回映画化され、氏自身も撮影に全面的に協力している。

ウダイ・フセインといえば、最高権力者である父親の威を借りて贅を尽くし非道な行いを繰り返したとされ、“20世紀最悪のプリンス”とまで呼ばれる人物。映画でも描かれるとおりヤヒア氏の体験は壮絶極まるものだったようで、その経験を語ってもらおうと配給会社は氏を日本に招聘。多くのマスコミのインタビュー取材をはじめ、29日(火)にはデヴィ夫人も登壇しての来日記者会見が予定されていた。ところが26日に成田空港に着いた氏が入国できず、すべての予定はキャンセルに。ヤヒア氏は亡命者という立場上パスポートを所持できないため、今回の来日は特別なトラベルドキュメントで入国予定だったのだが、提出が必要な書類に不備があったため、入国審査で許可が下りなかったのだという。

稀に見る数奇な人生だけに、当事者の口からその詳細を聞けないのは残念だが、興味のある方は映画で確認してみてはいかがだろうか。『デビルズ・ダブル -ある影武者の物語-』は、1月13日(金)よりTOHOシネマズ 六本木ヒルズほかにて全国公開される。

『デビルズ・ダブル -ある影武者の物語-』

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