『世界にひとつのプレイブック』に主演したブラッドリー・クーパー

22日(金)から日本公開になる映画『世界にひとつのプレイブック』で主演を務めたブラッドリー・クーパーがインタビューに応じた。数々の映画賞で高い評価を受けている本作の魅力はどこにあるのだろうか?

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タイトルになっている“プレイブック”とは、アメリカンフットボールでそれぞれのチームがつくる“作戦図”のこと。本作は、妻の浮気をきっかけに家も仕事も失い、自身の怒りを抑えられなくなってしまった元教師のパット(クーパー)が、同じように心に問題を抱えた女性ティファニーと出会い、周囲の人々を巻き込みながら再起の道を疾走する感動作だ。

本作を「ひとつのジャンルにとらわれない作品」というクーパーは、脚本を読み、撮影前にデヴィッド・O・ラッセル監督とじっくりと話し合ったという。「作品のトーンについて話し合ったよ。普通の人ならば喋る前に自分の話すことを自分で“検閲”する。でも彼らにはそのフィルターがないんだ」。だからこそパットとティファニーの会話は予測不可能。速射砲のように言葉が行き交かったかと思えば、ふとした沈黙が何よりも雄弁だったりもする。「脚本がオーソドックスなものじゃなかったからアドリブもたくさん混ぜたし、カメラのそばには監督がいて、演技しているときもセリフを書き直した紙が渡ってくるんだ。おかげで撮影したフィルムを観るとあちこちに監督の影や後頭部が写っていて大変だったよ(笑)」。

おかげで本作は俳優の演技に高い評価が集まった。間もなく発表になるアカデミー賞では31年ぶりに演技賞のすべての部門で候補になったほどだ。「監督はいつも“生きた”シーンを撮ることを心がけていたし、僕も“役を生きる”ことだけを考えた。それがこの映画にマジックをもたらしたんだと思う」。ちなみに本作には、クラシック映画のようなたたずまいがあり、それがイカれたふたりの掛け合いと絶妙なコントラストを見せている。「そこに気づいてもらえてうれしいよ。監督はフランク・キャプラ(『或る夜の出来事』『オペラハット』『我が家の楽園』で3度のオスカーに輝いた米映画界の巨匠)が本当に好きで、映画のトーンについて話し合うときは繰り返しキャプラの名前があがったんだ。この映画は演技の部分は現代的だけど、物語の構造にはクラシックなテイストがあるんだ」。

息もつかせぬ現代的なテンポと、クラシック映画にも通ずるロマンティックなテイストを持ち合わせた本作は、幅広い層の観客を魅了するのではないだろうか。

『世界にひとつのプレイブック』
2月22日(金) TOHOシネマズシャンテ、新宿武蔵野館ほか全国順次公開