左から、横内正、森宮隆、夏樹陽子、小松政夫、ジェイスン・アーカリ 左から、横内正、森宮隆、夏樹陽子、小松政夫、ジェイスン・アーカリ

アガサ・クリスティの傑作ミステリー劇『マウストラップ』が3月6日、東京・六本木ブルーシアターで初日の幕を開けた。1952年英国・ウエストエンドで初演、以来英国演劇史上最長ロングランを更新し続けている作品で、今回は英国人演出家のジェイスン・アーカリを迎え、森宮隆、小松政夫、夏樹陽子、横内正ほかが出演、60周年プレミアム公演として行われる。

舞台『マウストラップ』チケット情報

宿泊客5人が雪に閉じ込められた山荘に、ひとりの刑事が現れる。前夜に起こった殺人事件の現場で、山荘の住所を記した手帳が発見されたという。どうやら犯人が残したものらしい。しかもその手帳には、第2、第3の殺人予告を暗示するような童謡の一節が書かれていた。宿泊客の中に犯人はいるのか。そしてその標的も。刑事は執拗な捜査で犯人に迫っていく……。

開幕直前には出演者と演出家による会見も行われた。泰然自若とした退役軍人役の横内正は「日本で何度も上演してきた作品だが、本場イギリスの演出家に来ていただいたことで、今までになかった『マウストラップ』が出来上がったと思う」。刑事役の森宮隆は「ひとりでしゃべり続ける場面があまりに長い。飽きられてもダメだけど、かと言って早口すぎては聞き取れない。そのへんのさじ加減に苦労した」。不機嫌で尊大、実はかつてある要職についていた年配女性を演じる夏樹陽子は「最初は謎解きの面白さで、どんどん進んでいくが、途中からひとりひとりが背負っている人生が垣間見えてくる。そこに演じ手としてもすごく魅かれる。これも長く続いて飽きられない理由のひとつだと思う」。予約無しで山荘に飛び込んできた、どこかいかがわしい外国人役の小松政夫は「こんなキャラクター、めったにいただけない役。楽しんでできればいいな」とそれぞれ挨拶。

演出のジェイスン・アーカリは「イギリス人だからこそ新しい演出を加えることができた。それは、それぞれのキャラクターを強調したこと。15世紀に始まったイタリア喜劇の仮面を稽古場で使ったり、いろいろ工夫して、俳優の身体表現を中心としたキャラクター表現が追求できたと思う」とアピールした。

公演は3月17日(日)まで。チケット発売中。