『マン・オブ・スティール』(C) 2012 Warner Bros. All Rights Reserved

シカゴ郊外、プラノ。人口1万人のこの小さな街で、最新のスーパーマン映画『マン・オブ・スティール』のロケは行われていた。映画の中で、この街はクラーク・ケントが育ったスモールヴィルとして描かれる。いかにも昔懐かしい風情の床屋や銀行は、映画のためにわざわざ建てられたもの。街の人々は撮影隊を大歓迎している様子で、ガソリンスタンドではスーパーマンのフィギュアを売っているし、後にこの街は正式にスモールヴィルと改名されることも決まっているそうだ。市長が小さな役でカメオ出演することになったのは、サポート体制に対する製作側の感謝の気持ちの表現だろう。この日は、この平和な街がクリプトン星人に襲われる場面を撮影していた。道には数台の車が転倒しており、空中には4台のヘリコプターが飛び交っている。かなり大掛かりなアクションシーンだ。

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「奴らはスーパーマンを象徴するこの愛らしい街を引っ掻き回すのさ。人は象徴を愛するものだけど、僕はもともと象徴に対して情け容赦ないタイプ。だから、強烈に、徹底的に破壊してやるよ」と、ザック・スナイダー監督は笑う。『300〈スリーハンドレッド〉』で知られるスナイダーに話を持ちかけたのは、製作を務めるクリストファー・ノーランだった。『スーパーマン』に新たなアプローチをするのは難しいと思っていたスナイダーは、彼とのミーティングで考えを変えたと振り返る。

「クリスの視点を聞いて、それならクールだ、その方向なら僕らは一緒に良いものを作れるかもと思ったのさ。クリスがその時、具体的に何を語ったのかは秘密。ただ、この映画にはハートがたっぷりあるとだけ言っておこう。若いクラークにとって、スーパーマンでいることは大変なんだ。それは辛いことなんだよ」。

クラーク役に抜擢されたのは、イギリスの俳優ヘンリー・カヴィル。キャスティングにはノーランも関わったはずだが、「僕は彼に会ったことがないけど、彼は僕を見たことがあるよ」とカヴィルが言うところから判断すると、現場での接触はないようだ。「スーパーマンを演じるプレッシャーはもちろんある。でもそれについて考え始めたらきりがない。僕にできるのは、全力を尽くすことだけ」(カヴィル)。

スーパーマン・スーツも今回はずっとモダン。たしかに、これまでと違うものになりそうだ。

『マン・オブ・スティール』
8月30日(金) 新宿ピカデリーほかにてロードショー

文:猿渡由紀