『HK 変態仮面』(C)2013「HENTAI KAMEN」製作委員会

すでに映画のいちジャンルになっている、話題のコミックや往年のアニメの実写映画化作品。安易に思われがちな原作ものだが、コミックやアニメを実写として表現できるだけの発想・技術・人材がなければ、映画化自体も成り立たない。手掛ける作り手たちのクリエイティビティが何より求められ、試される場でもある。言ってみれば、それだけの才能と環境を、今の日本映画は有しているということにもなるわけだ。

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ある種、日本映画の豊かさも、そして日本のコミック・アニメの豊かさも証明している、このジャンル。2013年のラインナップで注目なのがヒーローものだ。『タイガーマスク』(落合賢監督) や『ガッチャマン』(佐藤東弥監督) が居並ぶ中、大きな話題を集めているのが、『HK/変態仮面』。その姿は、顔にパンティ、脚に網タイツ、そしてボディに纏うのは、端を肩に掛けて吊りパンツ状態にしたビキニのみというもの! パンティを被ることで両親から受け継いだ変態の血が覚醒して、超人的なパワーを発揮する、異色のヒーローだ。

原作は、90年代に『週刊少年ジャンプ』に連載された、あんど慶周『究極!!変態仮面』。1年の連載ながら、今なおファンの多い作品だ。本作に脚本協力で参加している小栗旬もそのひとりで、映像化を熱望していた小栗の思いを『勇者ヨシヒコ』シリーズ、『コドモ警察』の福田雄一が知り、実現の運びとなった。主人公・色丞狂介を演じるのは、その小栗が彼しか考えられないと語り、『ガッチャマン』でも“みみずくの竜” 役でヒーローに扮する鈴木亮平。

「小栗旬君と『シュアリー・サムデイ』という映画を撮っていたときに、“亮平とやりたい作品がある”って言ってくれたんですよ。それが『…変態仮面』で、僕も世代的に原作は知っていて、やってみたいと思ったので、ぜひ実現させようよと言ったんです。そのときから話していたのは、アクションはひたすらカッコよく、あととにかく真面目にやるということ。変態であることに葛藤する主人公を真面目に表現すればするほど、面白いんですよね。僕としてはコメディをやっている印象はないんですが、チェックで映像を見ると、爆笑なんですよ(笑)。笑いもありつつ、映画としてこのキャラクターがカッコよく見えるかどうかにすべてを懸けてやってます」。

発想・技術・人材だけでなく、原作へのリスペクト、実写では難しい設定や役柄への本気と熱意もまた、コミック・アニメの映画化に欠けないものだ。柔軟な発想と強固な意志は、映画作りにも、ヒーローにも必要な要素。その究極をいく『…変態仮面』は、まさに究極のヒーロー映画となりそうだ。

『HK/変態仮面』
4月6日(土)新宿バルト9にて先行公開、4月13日(土)全国ロードショー

『ガッチャマン』
8月24日(土)公開

取材・文:渡辺水央