イベントの様子

5月31日に閉館する銀座テアトルシネマのクロージング作品『天使の分け前』の公開を記念し25日、同館で“さよなら銀座テアトル×スコティッシュ・ナイト”と題したイベントが行われた。支配人の野崎千夏さんが感謝のあいさつに立ったほか、映画の舞台であるスコットランドの伝統楽器、グレートハイランドバグパイプの奏者・糟谷肇さん(東京パイプバンド)による演奏が披露された。

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野崎さんは「閉館まで残り1か月ほどですが、今まで劇場に足を運んでくださったお客様に感謝を伝えるイベントができないかと思っていました。『天使の分け前』というタイトルにはたくさんの意味が含まれています。劇場にとっての天使は、お客様です。わたしたちの感謝の気持ちとして受け取っていただけたらうれしく思います」と言葉を噛みしめながらあいさつ。「アメイジング・グレイス」「蛍の光」といった名曲を演奏した糟谷さんは、「『蛍の光』の原曲には、古き友との再会という意味が込められている」と説明し、ファンと劇場の“再会”に期待を寄せていた。

映画はスコッチウィスキーの故郷スコットランドを舞台に、劣悪な環境で育ち、職もなくケンカばかり繰り返していた青年ロビーが、ウィスキーのテイスティングの才能に目覚めたことから、人生の新たな一歩を踏み出そうとする姿を描く。名匠ケン・ローチ監督の最新作にして、キャリア最大のヒット作。タイトルは、熟成中に蒸発してしまうウィスキーのことで、樽の中の約2パーセントが1年間に消える現象を指している。

本作は銀座テアトルシネマでは4月13日に封切られ、初日と2日目の上映9回が満席となり、続く平日昼間も満席になるなど文字通り“有終の美”を飾るヒットを記録中。25日深夜には“ケン・ローチ監督ナイト”と銘打ち、『麦の穂をゆらす風』『この自由な世界で』『ルート・アイリッシュ』がオールナイト上映された。また、11日から“さよなら興行”として、同館でヒットを記録した『バッド・エデュケーション』『夏時間の庭』『8人の女たち』など名作25タイトルのレイトショー上映も決定している。

『天使の分け前』
公開中

取材・文・写真:内田 涼