大関嶺韓牛カルビ(江原道平昌郡)

骨の部分を中心に巻いた状態で出てくる『大関嶺韓牛タウン』の生(セン)カルビ200グラム50000ウォン。生カルビとはタレにからめたヤンニョム・カルビに対する言葉で、味付けしていない肉のこと。ヤンニョム・カルビも同価格

韓国で日本で言う和牛に当る言葉が韓牛。韓国には各地に韓牛ブランドがあり、前項の高山韓牛もそのひとつ。

全国的に見て特に存在感があるのが、冬季五輪が開かれる江原道の横城韓牛、そして、横城と並ぶといわれる大関嶺韓牛だ。

韓国の牛肉食の歴史は日本と比べはるかに長いにもかかわらず、ブランド化という点では和牛に大きく後れを取ってきた。

しかし、この十数年間で韓牛という言葉もすっかり定着し、その魅力が広く知られるようになってきている。12月23日、NHKBS1で放送される世界の牛肉特集では韓国の牛肉食の奥深さがよく伝わるはずだ。

和牛と比較したときの韓牛の魅力は、赤身の旨味だろう。韓国でも日本の影響でいわゆるサシ(脂肪)の入った霜降り肉を好む人も増えてきたが、脂が多く、とろけるような肉を日本人ほどありがたがらない。

やはり多少噛みごたえのある赤身が多いものが好きなのだ。

冬季五輪の開閉幕式会場やスキージャンプ競技場のある平昌には、大関嶺牛を味わえる専門店『大関嶺韓牛タウン』がある。

ここでは韓国の牛焼肉の王道であるカルビ(骨付き肉)を頼み、和牛とはちょっと違う香りや歯ごたえを楽しんでもらいたい。


大関嶺韓牛(テグァンリョン・ハヌ)タウン
江原道平昌郡大関嶺麺横渓里376-45 TEL:033-332-0001
11:30~21:30 無休

コギククス(ソウル)

仁寺洞通りにある『チェジュ・ミョンジャン』のコギククス7000ウォン

コギククスのコギとは肉、ククスは麺を意味する。済州は海に囲まれているので海産物ばかりに目が向きがちだが、昔から豚肉食が盛んな地域だ。

済州出身の在日コリアンたちが大阪でしぶとく生き抜く姿を描いた映画『血と骨』で、ビートたけし扮する親分が大きな豚をダイナミックにさばく場面を覚えている人もいるのではないだろうか。

ソウルの仁寺洞通りにできた『チェジュ・ミョンジャン』では、済州に行かなければ食べられなかったコギククスが7000ウォンという手ごろな値段で食べられる。

豚骨を24時間煮込んだスープは、韓国では苦手な人が多い豚骨特有の臭みがきれいに抜けている。九州の豚骨ラーメンに慣れている人なら抵抗なく飲み干せるスープだ。

黄色みがかった麺はラーメンとうどんの中間のような食感で、その上にはチャーシュー風の豚肉が5、6片と豆モヤシがのっている。コギククス(肉そば)と肉が冠されているだけに、肉が主役の麺料理といえる。日本のチャーシュー麺を平らげたときと同じような満足感が得られるはずだ。


チェジュ・ミョンジャン
ソウル特別市鍾路区仁寺洞2  TEL:02-737-7676
11:00~22:00 月曜休

『韓国、酒とつまみと酒場の話(試飲付き)』

1月27日(土)、28日(日)、名古屋の栄中日文化センターで本コラム筆者の講座『韓国、酒とつまみと酒場の話(試飲付き)』が行われます。電話(0120-53-8164)やサイト、窓口でお申込みいただけます。

鄭銀淑:ソウル在住の紀行作家&取材コーディネーター。味と情が両立している食堂や酒場を求め、韓国全土を歩いている。日本からの旅行者の飲み歩きに同行する「ソウル大衆酒場めぐり」を主宰。著書に『美味しい韓国 ほろ酔い紀行』『釜山の人情食堂』『韓国酒場紀行』『マッコルリの旅』など。株式会社キーワード所属。