『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』(C)2012 KIMMEL DISTRIBUTION. LLC ALL RIGHTS RESERVED.

『ブルーバレンタイン』のデレク・シアンフランス監督とライアン・ゴズリングが再びタッグを組んだ最新作『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』が25日(土)から日本公開される。15年に渡るドラマを3つのエピソードを用いて描く意欲作だが、その撮影現場は通常のハリウッド映画からは想像もできないほど“壮絶”だったようだ。

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本作は、罪を犯した二人の父親と、15年後同級生として出会った彼らの息子が、親の罪の不思議な因果に翻弄されていく様を、三つの物語を交差させて描いたクライム・ドラマ。息子を養うために銀行強盗を犯したバイクレーサー役をライアン・ゴズリングが、彼を追うも誰にも打ち明けられぬ過ちを犯してしまった新米警官を『世界にひとつのプレイブック』のブラッドリー・クーパーが演じている。

本作は巧妙に構成された人間ドラマが大きな魅力だが、スクリーンに映し出される美しい映像も大きなポイントだ。しかし、監督によると“こだわりの映像”をカメラにおさめるため、スタッフたちはまさに“命がけ”で撮影に取り組んだという。まず、ハリケーン・アイリーンがロケ地のニューヨーク州スケネクタディ襲い大洪水が発生。機材を載せたトラックが浸水してしまい、監督は「ネガフィルムをなくしたと思って死にたい気分になった」と振り返る。ちなみにフィルムは水没前に無事、カメラアシスタントがカヌーで救出したという。

さらにドキュメンタリー出身のシアンフランス監督はリアルな撮影にこだわったため、現場に蜂の巣があっても、蚊の大群が襲ってきても、おかまいなしに撮影を敢行。監督についていくスタッフ・キャストの気合いも相当なもので、戦場カメラマンの経験を持つ撮影監督のショーン・ボビットは鉄球体の中をバイクが滑走する危険なシーンを撮影するべく、監督の制止も聞かず球体の中にカメラを担ぎ込み撮影を断行した。その結果、ボビットはバイク3台の下敷きになり、脳しんとうを起こして病院に搬送されたが、文句を言うどころか「撮れなかった!」とくやしがったという。

過酷を極めた撮影をスタッフ・キャストが一丸となって乗り切ったという本作。そのため、彼らの本作に対する愛情は大きく、ブラッドリー・クーパーはスケネクタディで行われた試写会に、他の撮影現場から駆けつけてまで参加したそうだ。

『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』
5月25日(土)より新宿バルト9ほか全国ロードショー