(左から)マット・デイモン、スティーヴン・ソダーバーグ監督、マイケル・ダグラス

今年のカンヌ映画祭にコンペ入りしているスティーヴン・ソダーバーグ監督最新作『Behind the Candelabra』の公式会見が行われた。

アメリカで絶大な人気を誇ったピアニストでエンターテイナーのリベラッチ(マイケル・ダグラス)と、年下のゲイの愛人スコット・ソーソン(マット・デイモン)の関係を描く物語。

「リベラッチを演じてみたらとスティーヴン(・ソダーバーグ)に言われたのは、『トラフィック』(2000年)の撮影中。それから7年ほどして、スティーヴンが、スコット・ソーソンが書いたこの原作本を見つけ、脚本家を雇った。今、こうやって実現したのは、僕にとって最高のプレゼントだ」と、ガンを克服し、自信作をもってカンヌ映画祭にやって来たことに、ダグラスは思わず涙ぐんだ。

また、デイモンがソダーバーグと組むのは、これが7回目。映画の中ではダグラスとのベッドシーンがふんだんにあるが、迷いなく出演に同意したと振り返る。「これでシャロン・ストーン、グレン・クローズ、デミ・ムーアらとの共通点ができたよ(笑)。出演作を決める時は、いつだって100%監督で決めるんだ。脚本もないのに、その監督を信頼しているから出たことだってある。今回は監督がスティーヴンだし、さらに脚本もすばらしかった。抵抗なんて、何もなかったね」。

ソダーバーグがデビュー作『セックスと嘘とビデオテープ』でいきなりカンヌ映画祭の最高賞パルムドールを獲得したのは、24年前のこと。この作品で監督を引退するのではという噂を、本人は否定しない。「この後は長い休暇を取るつもりでいるんだ。いつまで休むかは決めていない。24年前にここに来た時は、まだ髪があった(笑)。そこから今までの道のりは、素敵だったよ。あの映画は、ふたりの登場人物が同じ部屋にいる話で、今作もそうだ。この作品には、僕の最後の映画になったとしても満足という、大きな誇りを感じているよ」。果たして最後の作品(?)で再び受賞となるか?

取材・文・写真:猿渡由紀