前田敦子

「第22回日本映画プロフェッショナル大賞」の授賞式が15日、新宿テアトルにて開催され、『SR サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』が作品賞を受賞したほか、主演男優賞の井浦新、主演女優賞の元AKB48の前田敦子らが出席し受賞の喜びを語った。

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同賞は評論家の大高宏雄が実行委員長を務め1992年にスタート。映画ジャーナリストやプロデューサー、配給、劇場関係者などが審査員に名を連ね、高い評価を受けながらも他の映画賞では受賞に至らなかった作品、興行面で結果を出せなかった作品などを対象に「ベストテン」および「個人賞」を選出する。

『苦役列車』のヒロイン役で主演女優賞に輝いた前田は「映画をこよなく愛する人々に選んでいただいた賞で、うれしいです。まだ私は卵ですが、『映画が好き』と胸を張って言えるようにありたいです」と喜びを語った。現在公開中の主演映画『クロユリ団地』(中田秀夫監督)は興行面でも好調をキープしており、今後、女優としてのさらなる飛躍が求められるが、作品選びについて尋ねられると「私は選ぶような立ち位置にいない。呼んでいただき“私に”と言っていただけるなら何でも頑張りたい」と話した。

井浦は『11.25 自決の日 三島由紀夫と若者たち』『かぞくのくに』で主演男優賞を受賞したが、『11.25 自決の日 三島由紀夫と若者たち』は故・若松孝二監督が監督賞も受賞。主演男優賞に続き、井浦は、監督が愛用したマフラーを手に代理で壇上に立った。受賞をもたらした2作を「去年の作品で思い入れが強く、やりがいと向き合いがいのあった2作品」と語り、特に三島由紀夫役を演じた前者について「若松監督が常々『三島役で主演男優賞を獲らせたい』と仰っていたので、その思いに報いることができた」と感慨深げだった。

授賞式が行われた新宿テアトルは数々の若松作品が公開されてきた劇場であり井浦は「何度も監督とともに訪れた、僕の中で間違いなく聖地」と語り、同劇場での受賞を喜んでいた。独立プロダクションでの映画製作や大都市のみならず地方の劇場を回った若松監督の姿勢に触れ「僕は若松監督は映画界の最後の砦と思っていましたが、監督が亡くなり、残された映画人ひとりひとりが、一丸となって映画の灯を消さないように活動しなければ」と訴えかけた。

また、『SR サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』の作品賞受賞で入江悠監督が登壇したが、花束を渡すために奥野瑛太ら出演陣が乱入。ラップで同作、および他の受賞者を祝福。深夜の劇場は異様な熱気に包まれた。

【主な受賞一覧】
作品賞:『SR サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』
監督賞:故・若松孝二(『11.25 自決の日 三島由紀夫と若者たち』海燕ホテル・ブルー』)
主演男優賞:井浦新(『11.25 自決の日 三島由紀夫と若者たち』『かぞくのくに』)
主演女優賞:前田敦子(『苦役列車』)