井上芳雄、浦井健治 撮影:源賀津己 井上芳雄、浦井健治 撮影:源賀津己

ともにミュージカル界のプリンスと呼ばれ、5月にはユニット「StarS」としてCDデビューも果たした井上芳雄と浦井健治。そのふたりがこの夏、ホームグラウンドであるミュージカルの舞台で共演する。挑むのは、ディケンズの小説をミュージカル化した『二都物語』。彼らがどんな思いでこの作品に臨むのか、話を聞いた。

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物語はフランス革命の時代を舞台に、弁護士シドニー・カートンとフランスの亡命貴族チャールズ・ダーニー、ふたりに愛される美しい女性・ルーシーの数奇な運命を描くもの。カートンを演じる井上は「飲んだくれの弁護士です。でも聖者のような、ある意味理想の男性。そういう風に人を愛せたらどんなにいいだろう、と思う」と自分の演じる役どころを説明。浦井は演じるダーニーを「貴族でありながら貴族社会に対し疑問を抱いている、正義感が強くてまっすぐな青年。様々な愛に触れて成長していく過程を見せることも、物語の中で課せられていると思います」と話した。お互いに「カートンはすごいイケメンの役。芳雄さんの内に秘める芝居が大好きなので楽しみ」(浦井)、「一生懸命に自分の立場で出来ることをやる人、というのは浦井君にあっている」(井上)と、相手の演じる役柄にも太鼓判を押す。

そして『二都物語』というと、まず頭に浮かぶのがカートンとダーニーが“瓜ふたつ”であるということ。三次元化には多少ハードルが高いのでは、と思うこの設定についてはまず浦井が「光栄です! 芳雄さんと瓜ふたつという役柄で舞台上に存在できるのはとても嬉しい」と満面の笑顔で即答。そこに井上が「背格好はほとんど一緒なので、舞台上で全身で見ると(物語として)成立すると思う。でも逆にそれ以外のところは違いがはっきりしている方がいいんじゃないかな。本当に瓜ふたつだったら、ルーシーがダーニーを選ぶ意味がなくなっちゃいますからね」と冷静な分析を付け加える。緩急のあるそのやり取りも、実に息ピッタリだ。

前述の「StarS」は、ミュージカル界の活性化を掲げ、井上と浦井、山崎育三郎の3人が能動的に始めた活動だ。デビューCDはオリコンウィークリー7位にもランクインし、ミュージカルを見ない層にも少なからず響いただろう。「ただ、僕たちの本業は俳優。やっぱりここをちゃんとやらないと。StarSで知って来てくれた方にも“この人たちはこれだけ本気でやっているんだ”って思ってもらわないとダメですよね」と、気を引き締める言葉を口にした井上。「『二都物語』は歌がなくても成立するくらいの濃度の芝居があり、さらにドラマチックな音楽が重なる。いいミュージカルの要素を兼ね備えています」(井上)、「(ストレートプレイを数多く手がける)鵜山仁さんの演出なので、ドラマ性の深い作品になると思います。ミュージカルの奥行きを感じることができるんじゃないかな」(浦井)と、見どころを熱く語ったふたり。彼らが惚れこみ演じる重厚なミュージカル『二都物語』、見逃す手はない。

公演は7月18日(木)から8月26日(月)まで、帝国劇場にて。チケットは発売中。