(左から)市川海老蔵、中谷美紀

市川海老蔵が主演する『利休にたずねよ』の完成披露会見が10日、東京・新宿バルト9で行われ、千利休を演じる海老蔵をはじめ、利休の妻・宗恩役の中谷美紀、田中光敏監督が出席した。本作には今年2月に亡くなった海老蔵の父・12代目市川團十郎が特別出演しており、「撮影当時は肺炎にもかかっていたし、コンディションは良くなかったはず。それでも資料を山のように読んで、かなり研究していた」(海老蔵)と團十郎との“映画共演”を振り返った。

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日本の偉大な芸術家として知られる千利休の人間性にスポットをあて、切腹にまつわる真相を重厚に描き出す歴史ミステリー。田中監督が、『火天の城』に続き山本兼一氏の直木賞作品を映画化した本作は、カナダ・モントリオールで開催される第37回モントリオール世界映画祭のワールド・コンペティション部門にノミネートされている。

当初、海老蔵は利休役のオファーを「僕じゃないだろうなと丁重にお断りした」というが、田中監督らの熱心な説得によって「腹をくくって務めようと思った」。完成した本編については「いい映画だと思いました。観終わった後は、泣いたな。芸術とは普通のところから始まることを描いている。ぜひ若い方に観てほしい」とアピールした。團十郎が演じるのは、利休の茶の師匠である武野紹鴎。公私にわたる師弟関係にあっただけに「父の姿を映画という形で観ると、言葉では言い表せないものがある」と感慨しきりだった。

海老蔵と初共演した中谷は「海老蔵さんの演技を見ていると、思わず涙してしまった」と感激のコメント。田中監督を「美意識の高さは利休に匹敵する」と絶賛した。その田中監督は「とにかく集中力がすさまじい。それだけに、おふたりには一番いい状況で演技してもらえるよう準備をした。ワクワクもし、ドキドキもしていた」と撮影を振り返り、「東映のお正月映画に、松竹の大スターである海老蔵さんに出演してもらう。そんな枠を超えた、ハードルの高い作品だった」と映画の完成に、格別の思いを示していた。

『利休にたずねよ』
12月7日(土)全国ロードショー