『終戦のエンペラー』を手がけたピーター・ウェーバー監督

トミー・リー・ジョーンズがマッカーサー元帥を演じる歴史サスペンス映画『終戦のエンペラー』が27日(土)から公開される前にピーター・ウェーバー監督が来日し、インタビューに応じた。

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本作の舞台は太平洋戦争が終結し、米軍が日本占領のために上陸した1945年。マッカーサーは部下のボナー・フェラーズに“この戦争の真の意味での責任者は、いったい誰なのか”について調査するよう極秘指令をくだす。日本を独自に研究し、日本を救いたいと願うフェラーズは、戦争の真実を求めて奔走する。

本作は戦後の日本を大きく揺るがした出来事の数々を描いている。しかし、ウェーバー監督は「この映画は小さな個人のドラマと大きな政治・歴史のドラマが出会う物語だ。世界はひとつの視点では捉えることができないし、知的な側面と感情的なアプローチの両方が必要だった。この作品はポリティカル・スリラーでもあり、ラブ・ストーリーでもある。それがとても重要なことだった」と振り返る。

本作でフェラーズは、一国の未来を決める調査を託されるが、ミッションを遂行する中で戦争に関わった日本人が抱える個人的な想いや苦悩と向き合い、自身も愛する日本人女性・アヤに想いをはせる。そしてマッカーサー司令官はそんな想いを受け止めた上で“ある決断”をくだす。「歴史には経済や政治などの大きな力が避けられないかたちで動く一方で、フェラーズやマッカーサーという個人がいなければ、このような歴史にはならなかったという事実もある。歴史には様々な力が働くけれども、その力が集約される“ボトルネック”になる場所にいるのはいつも“個人”なんだよ」。

だからこそ監督は“歴史の再現”ではなく“登場人物のドラマ”の描写にこだわった。「この映画はふたつの文化の違いを乗り越えようとした人たちの物語なんだ。今でも世界中では隣国で争いがあったり、暴力行為があったりする。当時だってかつては争った者たちが一緒に再建を目指すことは相当な困難だったと思う。でも彼らは目先の利益だけではなく、歴史を長い目で見る力があったんだ」。

本作は、歴史の大きな波のうねりに注目することも、登場人物たちの心の揺れ動きに注目することもできる作品だ。ウェーバー監督は「この映画を観た後はいろんな反応があると思うよ。僕はできる限りのことをして映画を作ったから、観客がこの映画を観てどのように思ってくれるのか、どこに注目してくれるのか公開を楽しみに待っているんだ」と笑顔を見せた。

『終戦のエンペラー』
7月27日(土)公開