(左から)ネスレ日本の高岡浩三社長、SSFF&ASIAの別所哲也代表

無料でネット上でショートフィルムを楽しめる「第2回ネスレアミューズ映画祭」が25日から開幕!アジア最大級の国際短編映画祭「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア(SSFF&ASIA)」とのタッグで52本の選りすぐりの作品が集結。視聴者の投票で最優秀賞を決定するほか、日本人監督を応援する特別企画も実施される。ネスレ日本の高岡浩三社長とSSFF&ASIAの別所哲也代表がこの春より展開中の無料の“オウチ映画館”もあわせて魅力を語ってくれた。

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創業100周年を記念してこの春よりスタートした、ネット上で世界中のショートフィルムを鑑賞できる無料映画館「ネスレアミューズ オウチ映画館」。オープンから数か月で50万回を超える訪問を獲得しているが、高岡社長がショートフィルムというコンテンツの魅力を意識し始めたのは実に10年前。ネスレの「キットカット」日本発売30年を記念して岩井俊二監督に短編映画『花とアリス』の製作を依頼したのがきっかけだったという。「業界としてショートフィルムを活用したのはうちが初めてだと思いますが、その情報発信性に惹かれました」

実は別所代表は若い頃にネスレのCMに出演しており、当時の担当だった高岡社長とはその頃からの知己。その後、別所代表が自らSSFF&ASIAの創設に関わったことで「改めて別所さんとお会いし話をして、ショートフィルムが企業にとって非常に良いコンテンツになると確信しました」と言葉に力を込める。

「ネスレアミューズ映画祭」では視聴者が作品を観るだけではなく、投票によってアワードを決定するという。これを高岡社長は“新たなビジネスモデル”と見ている。「視聴者の投票で最優秀作品を決めるんですが、新たな試みとして最多得票の日本人監督には新作を作ってもらい、それをネットで配信する。ひとつ条件があって、その新作と一緒にネスレの広告を1本作ってもらいます。この作品が1千万人に観てもらえるなら広告としては1億円の価値がある。僕は21世紀はタダで映画が観られる時代が来ると思ってるんです。元々、ショートフィルムは優れた作品が多いのに観てもらえる機会が少ないのはもったいない。優秀なクリエイターが報われるためにも新たなビジネススキームとして一石を投じたい」

別所代表はこれを受けて、クリエイターたちにとっても新たな道を切り拓くきっかけになると称賛。「もちろん、映画館の大きなスクリーンで映画を観るというのも決してなくならないけど、21世紀は映画も進化しなくちゃいけない。東京の映画祭に来ることができない沖縄や北海道の人も簡単にアクセスできるというところもうれしい。新たな何かを起こすというのがショートフィルムの原点。ゆくゆくはショートフィルムの1億円プレイヤーを生み出したいです」

ちょっとしたスキマ時間や通勤時間にスマフォやタブレットで気軽に楽しめるというのが魅力。世界の作品群の中に、将来の巨匠となるダイヤの原石がいるかもしれない。

第2回ネスレアミューズ映画祭/2014年1月16日(木)まで開催

取材・文・写真:黒豆直樹