渡邉千真(FC東京)  (c)J.LEAGUE PHOTOS 渡邉千真(FC東京) (c)J.LEAGUE PHOTOS

高温多湿、うだるような熱帯夜の中、両エースが絶好調である。渡邉千真(FC東京)とマルキーニョス(横浜F・マリノス)のことである。昨季、横浜FMからF東京へ移籍した渡邉は7月以降6試合に出場し6得点をマークし、得点ランキングトップの15ゴールを量産する。J1リーグ戦通算得点3位の133得点を積み上げたマルキーニョスは、6試合連続でゴールを決め、得点ランキング2位タイの14ゴールだ。

エースが決めれば、勝ち点の積み上げは保証済みである。F東京は渡邉が復帰したここ6試合は3勝3分(得点を決めた4試合では3勝1分)、マルキーニョスも直近の6試合で4勝1分1敗の星を残している。横浜F・マリノスは首位・サンフレッチェ広島に勝ち点1差の2位につけ、F東京は乱高下を繰り返しながらも勝ち点31の7位に踏みとどまっている。両軍の立場は違えど、エースの活躍がなかったら今の順位はない。

エースのゴールだけではない。F東京はここ5試合で3失点と守備が安定してきたのが大きい。横浜FMが2点奪ったゲームは6戦全勝なのに対し、F東京は2点奪いながら4勝3分3敗と勝ち切れなかった。主導権を握ってのパスサッカーにこだわりすぎる中、カウンターやセットプレーで痛い目に遭ってきたのだ。そんな中、森重真人&チャン・ヒョンスのCBが安定感を増し、高橋秀人&米本拓司のボランチが相変わらずのボール回収能力を発揮しているのだから、結果が出つつある。攻撃サッカーを貫く姿勢はよし、あとはいかにスマートに試合を終わらせるかによって、F東京がさらに上へ行けるか否かが決まる。

その試合の終わらせ方を熟知しているのが、横浜FMである。フリーキックやコーナーキックなど、高い精度のキックに評価が集まる中村俊輔だが、背番号25のタクトさばきは一級品だ。一気呵成に攻めるのか、じっくり時間を掛けて攻めるのか、はたまたボールポゼッション最優先で時間を使うのか。中村のパスでチームは共通認識を育む。

マルキーニョスや齋藤学も前線からアグレッシブな守備を怠らない。夏場は平均年齢の高さや、ハイプレッシャーを課すスタイルから失速の危険性も孕んでいたが、そこは大人のチーム。エースの好調、セットプレーという飛び道具、かたい守備に試合巧者ぶりを見せ付け、上位を死守している。

試合によって波があるものの、つぼにハマッたら手がつけられないほどの爆発力を秘めたF東京か、アグレッシブな守備で主導権を握りキッチリ勝ち点を積み重ねる横浜FMか。今季の戦況はアウェイチームが有利だが、直接対決では11勝6分8敗とホームチームが分がいい。FC東京×横浜F・マリノスのJ1リーグ第21節は8月17日(土)・味の素スタジアムでキックオフ。チケット発売中。