『ポルトガル、ここに誕生す ギマランイス歴史地区』

世界の映画ファン、評論家たちがその動向に注目している映画監督がいる。ポルトガルの鬼才ペドロ・コスタ監督だ。そんな彼が9月14日(土)から日本公開される映画『ポルトガル、ここに誕生す ギマランイス歴史地区』で短編『スウィート・エクソシスト』を手がけ、早くも注目を集めている。

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本作は“ポルトガル発祥の地”とも称される同地区を舞台にコスタ監督、『過去のない男』のアキ・カウリスマキ監督、『ミツバチのささやき』のビクトル・エリセ監督、『コロンブス 永遠の海』のマノエル・ド・オリヴェイラ監督がそれぞれ新作を撮りおろした一大プロジェクトだ。

ペドロ・コスタ監督はポルトガル・リスボン出身の映画作家で、日本では2000年製作の『ヴァンダの部屋』で注目を集めた。その後も『コロッサル・ユース』『何も変えてはならない』など次々に新作を発表。独特な語り口と強烈なビジュアル・イメージ、細部までこだわり抜かれた映画づくりで多くのファンを魅了している。

コスタ監督が手がけた『スウィート・エクソシスト』は、ポルトガルからやってきた移民の男が彫像のようなブロンズ色の兵士とエレベーターの中で語り合う様を捉えた作品だ。「ギマランイスをテーマにしたプロジェクトだったので、私はなるべくギマランイスで撮影したくないと思った」と笑顔を見せるコスタ監督はあえて“ホラー映画”のイメージを借りて、「革命や民衆、民主主義といったシリアスなテーマ」を語っている。

完成した作品は全編に渡ってコスタ監督らしい重厚な描写と緊迫感のある演出がなされているが、短い上映時間の中に様々な要素が凝縮されており「どこかで“ペドロ・コスタ”の名前は見たことはあるが、作品は観たことがない」という観客にとっても最初の1本として最適な作品になっている。

ちなみにコスタ監督は本作について「オムニバス作品には過去にも関わったことがありますが、作品の面白さは今回が一番でしょう」とコメントしており、他の3作品も大変気に入っているようだ。

『ポルトガル、ここに誕生す ギマランイス歴史地区』
9月14日(土)より、シアター・イメージフォーラムほか全国ロードショー