『ポルトガル、ここに誕生す ギマランイス歴史地区』

104歳になるマノエル・ド・オリヴェイラ監督が新作映画を完成させた。“現役最高年齢”と称される監督はいまも勢力的に創作活動を行っており、14日(土)から公開される映画『ポルトガル、ここに誕生す ギマランイス歴史地区』で『征服者、征服さる』と題した短編を発表。世界の巨匠が集まった本作のトリを飾っている。

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本作は“ポルトガル発祥の地”とも称される同地区を舞台に、オリヴェイラ監督、『過去のない男』のアキ・カウリスマキ監督、『ヴァンダの部屋』のペドロ・コスタ監督、『ミツバチのささやき』のビクトル・エリセ監督がそれぞれ新作を撮りおろした一大プロジェクトだ。

オリヴェイラ監督がポルトガルで生まれたのは1908年のこと。作家のシモーヌ=ド=ボーボワールや、映画監督のマキノ雅弘、文化人類学者のクロード=レヴィ=ストロースらと同じ歳で、2013年現在も現役として活躍している。70歳を超えてから創作のペースがあがったのが大きな特徴で、『神曲』ではベネチア映画祭の審査員賞を、『クレーヴの奥方』ではカンヌ映画祭審査員賞を受賞するなど高い評価を集めている。

そんなオリヴェイラ監督が手がけた『征服者、征服さる』は、世界遺産に登録され、貴重な建物や遺跡などが残るギマランイス歴史地区を舞台に、街に押し寄せた大勢の観光客と彼らを率いるガイド、そして観光客を迎える街の人々のドラマをユーモアを交えて描いた作品だ。老齢の巨匠監督の作品と聞くと“難解なイメージ”を抱く観客もいるかもしれないが、本作はとてもシンプルで、皮肉もきいていて思わず笑みがこぼれる作品になっており、この作品を機に“世界の映画人が尊敬する巨匠”の世界に触れてみてはどうだろうか。

『ポルトガル、ここに誕生す ギマランイス歴史地区』
9月14日(土)より、シアター・イメージフォーラムほか全国ロードショー