(左から)忽那汐里、柳楽優弥、渡辺謙、佐藤浩市、小池栄子、李相日監督

俳優の渡辺謙が14日、東京・有楽町の丸の内ピカデリーで行われた映画『許されざる者』の公開記念舞台あいさつに、共演する佐藤浩市、柳楽優弥、忽那汐里、小池栄子、メガホンを執った李相日監督とともに登壇した。本作は前日の13日から全国328スクリーンで封切られており、渡辺は「掛け値なしに心からすべてをさらけ出し、吐き出した作品。ぜひ、皆さんに育てていただければ。幸福な幕開けに感謝しています」と感無量の面持ちだった。

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クリント・イーストウッド主演・監督の傑作を日本でリメイク。かつて江戸幕府の残党として京都中に“人斬り十兵衛”の名を轟かせるも、二度と刀を持たないと誓った男(渡辺)が北海道の大地で辿る数奇な運命を描き出す。李監督は、この企画を最新作に選んだ理由を「衝動だった」と説明し、「10代の頃に、オリジナル版を観た。当時は面白さというより、真実を突きつける衝動が印象に残った」という。それだけに「特に若い人にとって、僕らが作った『許されざる者』が、何か脳裏にこびりつくものであれば」と期待を寄せていた。

佐藤は宿場町で暴力による恐怖政治を敷く警察署長を怪演し「僕の50代後半を決めてくれる作品。誰もが多かれ少なかれ、欲望を抱え、業を背負った“許されざる者”だと思う」としみじみコメント。女郎を体当たりで演じた小池は、本作を通して「改めて映画の現場が好きだなと確認した。ここにいる皆さんが戦友だと思っているし、私には李監督との勝負の現場だった」と“戦い”を終えて晴々した表情だった。

アイヌ出身の青年に外見からなりきった柳楽は「周りからは『どこに出ていたの?』と言われるほど(笑)」。李監督との仕事は「間違いなく特別な経験」だったといい、「監督に言いたいことですか? 感謝していますの一言です」と語った。また、若き女郎役で新境地を切り開いた忽那も「これまで経験したどの現場とも違う。私にとって大きな財産です」と感慨しきりだった。

『許されざる者』
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