山崎育三郎 撮影:源賀津己 山崎育三郎 撮影:源賀津己

現在『レ・ミゼラブル』に出演中、これまでに『モーツァルト!』『ロミオ&ジュリエット』などの大作の主役を演じ、若手ミュージカルスターの筆頭である山崎育三郎。彼がこの冬、交響劇『船に乗れ!』に主演する。日本発のオリジナルミュージカルに出演したかったという彼に、意気込みを聞いた。

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原作は2010年本屋大賞ベストテンにも選ばれた藤谷治の同名小説。音楽高校を舞台に、恋、夢、才能との葛藤、挫折を経験する少年・津島サトルの青春を描いた物語だ。山崎自身も音楽高校、音楽大学と進んだこともあり「本を読んでいても、自分が通った学校の廊下や教室、音楽室、練習室、いろんな景色が蘇ってくるんです。音高生だから起きる出来事や青春とか、自分の中でリンクする部分が本当に多い。普通のミュージカル俳優の方より、僕はこの役に共通点が多いだろうし、感情移入もします。これは自分じゃないと出来ないんじゃないかな、と思うくらい」と、早くもこの作品に思い入れたっぷりのよう。

山崎が演じる高校生のサトルとともに、舞台上には45歳のサトルが登場するのも面白い趣向だ。「学生の青春ストーリーなんですが、大人のサトルが常にそばにいて、当時の自分を客観的に見て、違う、そうじゃない、なんでそういうことを言うんだと後悔したり、振り返ったりします。青春時代を思い出して苦しくなることって、誰にもありますよね。音楽高校という少し特殊な環境が舞台ですが、学生時代を覚えている大人の方になら誰でも共感していただけると思います」と山崎。また、大人のサトルを演じるのは、現在『レ・ミゼラブル』で共演中の福井晶一。「僕、人としても俳優さんとしても福井さんが大好きなんです。同じサトルという人物を演じるのはすごく嬉しいし、福井さんも“将来、こういうサトルになれたら”というサトルを演じてくださると思うので楽しみです」。

さらに、山崎にはこの作品へ意欲を燃やすもうひとつの理由がある。「海外作品が続く中で、日本のオリジナルミュージカルをすごくやりたかったんです。以前『サ・ビ・タ~雨が運んだ愛~』(韓国発のミュージカル。山崎は2008年の日本初演に出演)に出た時に韓国の俳優さんと話す機会があったのですが、彼らは皆「韓国のオリジナルミュージカルを世界に出したい、僕たちは自分たちの国で生まれたものを、みんなで大きくしていきたいんだ」と仰っていて、それにとても感銘を受けた。だから僕も、日本で生まれたものが世界に出ていったら幸せだなという思いをずっと持っていました。今回、自分も原作を読んでファンになったこの作品が、日本のオリジナルミュージカルとなって上演される、しかもその初演に参加できるということは本当に嬉しい」。熱く語る彼の瞳の輝きが、このオリジナルミュージカルの輝かしき誕生を導いてくれそうだ。

公演は12月13日(金)から21日(土)に東京・東急シアターオーブにて。チケットは9月28日(土)に一般発売開始。チケットぴあでは9月25日(水)11:00まで先行抽選プレリザーブを受付中。