市村正親、井上ひさしの分身を演じ「このために俳優になった」と感激

2013.9.27 22:30配信
音楽劇『それからのブンとフン』公開舞台稽古より 音楽劇『それからのブンとフン』公開舞台稽古より

井上ひさしの処女小説『ブンとフン』を原作とし、作者が後日談を加えて戯曲化したのが音楽劇『それからのブンとフン』。今回、栗山民也の演出のもと、初めて井上作品に出演する市村正親を中心に、小池栄子、新妻聖子ら主要キャストによる公開稽古が9月22日に行われた。

音楽劇『それからのブンとフン』チケット情報

抽選で選ばれた一般の見学者もいる中で公開稽古がスタート。乱雑に本が積み上がる部屋に座り、作家・大友憤が執筆に苦労するさまを演じる市村。ところどころほつれた綿入れに黒い丸メガネ、いかにも売れない作家という風体だ。そこへ白いドレスの小池が登場。腰を振り、髪を振り乱して踊ったかと思うと過剰にセクシーな声音で市村へとすり寄る。実は彼女、憤の書いた小説の主人公、大泥棒のブン。ブンはどこへでも行けるし、何者にもなれる。それを証明するように音楽にのせて次から次へと入れ代わり立ち代わり総勢12名ものブンが登場し、稽古場は一気ににぎやかな空気に包まれた。

歌が終わると山西惇の長ゼリフのシーンだが、ここで山西は「わざわざ稽古を観に来てくださりありがとうございます」などこの場限りのアドリブトークを展開。その後登場した橋本じゅんも「本番ではこんなことはやりません」と言いながら一般の見学者に拍手を促すなど自由すぎる動きを見せ、見学者だけでなく取材陣からもドッと笑いが起きた。

公開稽古後の記者会見では、市村が「井上先生の分身のような役をやらせてもらって心地よい。この役をやるために演劇の世界に入ったのかな」と思いを語った。小池も「ブンという存在が井上先生のメッセージを背負っている。演じていてハッとさせられる瞬間があります」とこの役に打ち込んでいる様子。新妻聖子は悪魔役ということで、黒いミニスカートにピンクのしっぽをつけた衣装で登場。「悪魔という役に己のイマジネーションが追い付かず右往左往しながら頑張っています」と話すと、市村が「うちの子どもは悪魔をいちばん楽しみにしているよ」と励ました。

終始ハイテンションで場を盛り上げていた市村。「山西くんは『レ・ミゼラブル』みたいに歌い上げるんですよ」と報道陣の前で歌うように促すも、山西が歌い始めた瞬間に止めて「あんまり歌うとどこがレミゼ? って言われるからやめとこう」と言い出す始末。しかし橋本が「日本にこのカンパニーがあってくれてよかった。演劇の醍醐味、面白さが味わえる舞台です」とまじめに話すと市村も深く頷いていた。稽古の段階から息ぴったりの彼らがどんな井上ワールドを見せるか、期待が募る。

公演は9月28日(土)・29日(日)KAAT 神奈川芸術劇場 ホール、10月3日(木)から15日(火)まで東京・天王洲 銀河劇場、10月19日(土)・20日(日)大阪・シアターBRAVA!にて。チケット発売中。

取材・文:釣木文恵

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