撮影:(C)AOI Pro.

朗読劇『したいとか、したくないとかの話じゃない』が、4月20日(木)に東京・俳優座劇場で開幕する。初日が約10日後に迫ったタイミングで製作発表記者会見が行われ、キャストの篠原涼子、山崎樹範、荒木宏文、佐藤仁美、劇中オリジナルドラマに出演した早川聖来(乃木坂46)、ゆうたろうらが登壇した。

原作は、10月よりスタートするNHK連続テレビ小説『ブギウギ』を手がける脚本家・足立紳による同タイトルの小説(2022年刊行)。共同脚本・演出として劇団宝船を主宰する新井友香が加わる。妻のもとに夫から届いた「今晩、久しぶりにしたいです。どうですか?」というLINEメッセージを起点に、セックスレスの二人が夫婦や子育てのあり方を問う“ファミリーストーリー”が展開される。ペアが入れ替わるWキャスト制が敷かれ、組み合わせの妙も期待できそうだ。

映画『喜劇 愛妻物語』(2019年)など、もともと足立作品のファンだったという篠原は「衝撃的なセリフに惹きつけられました」と会見の口火を切る。加えて「パートナー関係であれば避けて通れないセクシャルな話題を通じて自分たちを見つめ直す物語。私の年齢でこうしたテーマや人物に取り組むのは、初めての朗読劇と並ぶくらい大きなチャレンジです」とコメントした。

劇中には落ち目の映画監督・脚本家で“セックスしたい”夫・孝志に対して、シナリオコンクールで優秀賞を獲得した“したくない”妻・恭子が登場する。佐藤は「人間味たっぷりの二人による攻防戦に、きっと観客の皆さんも共感していただけるんじゃないかな」と見どころを述べ、「恭子のセリフにある『人の時間を奪うな』って、私が常に言っていることでもあるんですよね」と苦笑した。

朗読劇の楽しみ方を問われると、経験者の山崎は「表情や動きで見せる映像や舞台の芝居と異なり、“音”に特化した朗読劇はお客さんの想像力を掻き立てるのが魅力」と笑顔を見せる。一方で、今回は朗読の合間に若かりし孝志と恭子による恋路がオリジナルドラマとして映し出される。この演出に対して荒木は「まだ表現の枠が確立されていないからこそ、つくり手のアイディアで演出を自在に変えられるのが朗読劇の可能性」と述べ、「ビジュアルを取り入れながら聴覚で魅せるそのバランスを劇場でご堪能ください」と言って会見を結んだ。

公演は4月23日(日)まで。チケット販売中。

取材・文:岡山朋代