英国ロイヤルバレエ、アメリカン・バレエ・シアター(ABT)、ニューヨーク・シティ・バレエ(NYCB)のスターが集う〈The Artists─バレエの輝き─〉。8月の公演に向けて着々と準備を進めるのは、ロイヤルバレエの元ファースト・ソリストでプロデューサーの小林ひかるだ。
「多くの方々に喜んでいただけたことが嬉しくて!」と話す小林。3年前に初めて手がけた公演〈輝く英国ロイヤルバレエのスター達〉のことだが、まさにその直後、世界はコロナ禍に見舞われた。
「ショックでしたね──」。4年先まで考えていたというプロジェクトは、諦めざるを得なかった。「いえ、“諦め”ではなく、“延期”。それに、考える時間が増えた分、しっかり煮詰めることができました。が、煮詰めたのはいいけれど、そこからの“盛り付け”が大変で(笑)」と、様々な課題にポジティブに向き合う。
最もファンが期待するのは、その豪華なキャスティング。今回はロイヤルから、プリンシパルのマリアネラ・ヌニェス、ワディム・ムンタギロフ、マヤラ・マグリ、マシュー・ボール、金子扶生、ウィリアム・ブレイスウェルに加え、躍進中の若手、五十嵐大地が参加。またNYCBのタイラー・ペックとローマン・メヒア、ABTのキャサリン・ハーリン、アラン・ベルというプリンシパルに、「踊る姿を見て衝撃を受けた」というABTの若手、山田ことみにも声をかけた。「今回は、近年、日本で紹介される機会が少ないニューヨークのダンサーたちに注目していただきたくて。ぜひ、カンパニーごとのスタイルの違いを楽しんでいただきたいですね」。世界初演作品の上演に加え、「ダンサーのレッスンの様子を公開するプログラムも。元ダンサーの写真家が至近距離から捉える彼らの姿を、舞台上にライヴで映し出す予定」と、アイデアはどんどん広がってゆく。
「でも、本当の目標はもっと先に」とも。彼女を突き動かすのは、日本のダンサーたちの活躍の場を広げたいという思い。初日の昼にはスクールマチネとしてゲネプロを公開、18歳以下を対象とした2,000円のチケットを販売する。「彼らが大人になった時、バレエを自分たちのカルチャーとして認識してくれるようになれば」と、その瞳はしっかりと未来を見据えている。
公演は8月11日(金・祝)から13日(日)、文京シビックホール大ホールにて。プログラムの組み合わせは日替わり。チケットは5月13日(土)より発売。

文:加藤智子