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埼玉初夏の恒例企画、ダンスカンパニー・コンドルズの新作公演。その第16弾『POP LIFE』が、5月末、埼玉会館 大ホールで上演される。そこで構成・振付・演出を手がける近藤良平と、メンバーの古賀剛に、現在の稽古の手応えなどを訊いた。

彼らにとっての埼玉公演の位置づけを訊くと、「彩の国さいたま芸術劇場という劇場自体に特殊性があって、普段よりもわりと大仕掛けが出来るんですよね。結果的にいつもとは違う、特別な作品になっていると思います」と近藤。さらに古賀が「作品全体のテーマを色濃く出すようになったのも、埼玉公演の特徴だと思います」と続けると、近藤も「『アポロ』(13年)の時は“丸”にこだわったりね。意外とここまで被らずに、いろんなことをやってきたなぁと思います」と振り返る。

そして今回のタイトルは『POP LIFE』。「軽くて浮遊感があり、ワクワクするし、決して絶望するようなタイトルではないですよね?」と近藤は笑いつつ、「時期的なものも含めて、そういうタイトルをつけたかったんです」と明かす。古賀は“あるもの”を並べたセットのミニチュアの写真を披露しつつ、「“POP”って英語で“弾ける”という意味で、しかも明るく、ピチピチと弾けるような感じ。そのイメージがこれと合うんじゃないかと。実際出来るかどうかはわかりませんが、みんなでこうやって無駄な実験をしながら(笑)、夢を見ている最中です」と声を弾ませ構想を語る。

しかし現在、彩の国さいたま芸術劇場は改修工事のため休館中。近藤は「埼玉会館でやるのは初めてですけど、お客さんにもいい劇場だって感じてもらえるような気がするんです。きっと集中して観てもらえるんじゃないかな」と期待を寄せる。

結成27年。メンバーの多様性も含め、やはり学ラン姿の男性ダンスカンパニーは唯一無二の存在だ。「うまさの質がメンバーでそれぞれ違うのかなと思います。僕たちの尺度の中で、異なるうまさがある。ダンスのダイバーシティというか」と古賀。続けて「コロナ期間中は映像などいろいろなことにもチャレンジしましたが、結局僕ら自体は変わらないなと。もちろん扱う題材はどんどん変わっていきますけど」と語り、近藤も「僕らのことを知らない世代も増えてきましたけど、まずは地道にコンドルズとしての活動を続けていく。それしかないと思っています」と言い切る。

変わらないコンドルズの最新の姿。向かうは彩の国さいたま芸術劇場ではなく浦和の埼玉会館、ぜひお間違いなきよう。


取材・文:野上瑠美子

<公演情報>
コンドルズ埼玉公演2023新作『POP LIFE』
2023年5月27日(土)15:00開演
     5月28日(日)14:00開演
埼玉会館 大ホール(JR浦和駅西口より徒歩6分)