ドル建て終身保険(貯蓄型保険)をどうとらえるか

一生涯の死亡保障に備えることができるのが終身保険です。それと同時に将来に向けて貯蓄ができるというメリットがありますが、その分他の保険に比べて保険料が高めです。

バブル期は、積立利率(銀行でいう利息)が5%~6%の商品が存在し、保障がありながら魅力的な貯蓄効果も得られていました。ですが残念ながら現在はそんな保険商品は存在せず、良くて『ドル建て終身保険』になります。

結論から言えば、単純に「お金を増やす」ことに注力する場合は、終身保険を利用するよりiDeCoやつみたてNISAなどの積立投資信託がおすすめなのですが、では『ドル建て終身保険』であればどういったメリットがあり、どういった方に向いているのでしょうか。

・一生涯の保障は確保しておきたい方
あくまで「保険が優先」で、いつ亡くなっても遺族が困らないようにしておきたいという思いがある場合は終身保険が有効です。

・他の通貨で資産形成を始めたい方
「一つの籠に卵を盛るな」という格言がありますが、ここでは円だけを持っておくことこそリスクになるよという意味です。

緩やかにではありますが、インフレが起こっている昨今において現在の100万円は以前より価値が目減りしている状態です。このうち50万をドルで持っておくとどうでしょうか。

インフレで“円安”が進んでも“ドル高“になるのでドルを所有していることでお金の価値は均等に保たれます。通貨分散に限った話ではありませんが、こういった視点は今後、非常に大切になってくるでしょう。

・株式や積立投資信託などの投資から始めるのが不安で、抵抗を感じる方
ドル建て終身保険は為替のことを理解できていれば、それほど複雑ではありません。こういった商品に加入することで為替に関心を持ち、グローバルな視点も得られます。

生きていく中では、様々なリスクがありそれに伴って様々な保険が存在します。多くを保険で賄おうとするといくらお金があっても足りません。

今回ご案内した保険種類の中で、我が家にとって『効率的かつ効果的な保険』がどういったものなのかを再考し、家計の見直しにお役立ていただければ幸いです。

【執筆者プロフィール】渡邉 詩子

キッズ・マネー・ステーション認定講師/(株)エージェントランド(生損保商品販売員・ファイナンシャルプランナー)/米粉シフォンケーキ・ナチュラルスイーツ専門店経営

実父が他界後、先代が営んできた保険代理店を引き継ぎながら出産、育児をする中で、これからの時代は小さいころからお金の感性と知性を身に付けていくことの重要性に気づき、2018年よりキッズ・マネー・ステーション認定講師として各種親子向けや保護者向けマネー講座に携わる。その傍ら2022年1月より店舗を持たないお菓子屋を起業。「Poem Child」として千葉県内を中心にマルシェ出店に励む。

「見えないお金」が増えている現代社会の子供たち。物やお金の大切さを知り「自立する力」を持つようにという想いで設立。全国に約300名在籍する認定講師が自治体や学校などを中心に、お金教育・キャリア教育の授業や講演を行う。2023年までに2000件以上の講座実績を持つ。公式サイト「キッズ・マネー・ステーション