完成披露試写会の模様

女優の松たか子が28日、都内で行われた主演作『小さいおうち』の完成披露試写会に出席した。山田洋次監督の82作目となる最新作。松は『隠し剣 鬼の爪』以来9年ぶりに山田監督作品に出演し、「撮影中は山田監督の“地団駄”が聞こえたことも。(監督が)自分自身に夢中になれる熱さをもった、とても健康的な現場だった」と振り返った。

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完成披露試写会には山田監督と松に加え、共演する黒木華、吉岡秀隆、木村文乃、妻夫木聡、倍賞千恵子が勢ぞろいした。中島京子氏の直木賞受賞小説を原作に、昭和初期、東京郊外に建つ赤い三角屋根の“小さいおうち”に暮らす若奥様・時子(松)の秘められた恋愛模様が、女中のタキ(黒木)の視点から描かれる。やがて、一冊のノートに記された秘密は、平成を生きる若者・健史(妻夫木)によってひも解かれる。

山田監督は原作を読みながら「物語が後半に差し掛かるときには、映画化したいと思った」といい、「不安をかき立てる、怪しい心のときめきを感じる話。若奥様が一体どうなってしまうのかドキドキした。自分でもこういう映画は作ったことがない気がする」と自身にとっても“新境地”であると語った。また、黒木の割烹着姿に「日本一似合う」と太鼓判を押した。

松と同じく9年ぶりの山田組参加となった吉岡は「まったく自信がありません。(俳優として)何もできなかったと、今も反省の日々」と弱気な発言。一方、前作『東京家族』に引き続き、山田監督作品に出演する妻夫木は「うれしくて、親に電話しちゃいました」と声を弾ませた。また、ベテラン女優の倍賞は「久しぶりの山田さんの作品で、緊張しました」。それでも「監督はお腹が空くと、機嫌が悪くなっちゃうので、元気なさそうに見えたら、みんなで『お肉を食べさせよう』って(笑)」と日本映画界の巨匠の“秘密”を明かす余裕も見せていた。

『小さいおうち』
2014年1月25日全国公開取材・文・写真:内田 涼