左から、山崎育三郎、加藤和樹  撮影:源賀津己 左から、山崎育三郎、加藤和樹  撮影:源賀津己

ミュージカル界のプリンスと呼ばれる山崎育三郎。『ロミオ&ジュリエット』で大型ミュージカルを経験した加藤和樹。ともに、これからのミュージカルに欠かせない存在であるふたりが、ダブルキャストとして新たな作品に挑戦する。『エリザベート』『モーツァルト!』などの大人気作品を手がけてきたミヒャエル・クンツェ(脚本・歌詞)とシルヴェスター・リーヴァイ(音楽・編曲)による、これが世界初演となる『レディ・ベス』である。世界が注目するこの作品にかける、ふたりの思いを聞いた。

ミュージカル『レディ・ベス』チケット情報

舞台は16世紀のイギリス。苦境を乗り越えて女王となったエリザベス1世の運命を描くこの物語の中で、ふたりが演じるのは、唯一の架空の人物であり、若き日の“レディ・ベス”と愛を育むことになる吟遊詩人ロビン・ブレイクだ。「この作品の中でひとり、他人に縛られずに自由に生きているのがロビン。ここまで開放的な役は初めてですが、ベスにとっても、お客さまにとっても、ホッとできる存在になりたいと思います」と山崎が意気込めば、「太陽のようにみんなを明るく照らした人だと思うので、その大きな人間像をどこまで作り込めるか、挑戦したいです」と加藤も意欲を見せる。同じ役を演じることについては、山崎が「加藤くんとはプライベートでも仲良しなので、楽しく切磋琢磨できそうです」と言うと、加藤も、「気づいたところは遠慮なく言い合いながら役を作っていけると思います」とニッコリ。ふたりで高め合っていく様子を早くも期待させてくれた。

リーヴァイが創り出す楽曲は、『モーツァルト!』で主役を演じた山崎が経験している。「多彩なテイストと、日本人の心にも響く切ないメロディーが魅力的。ただ、今回のロビンはリズミカルで華やかな曲が多くなると思うので。思いのまま歌いながら、劇場を走り回りたいです」。一方加藤は、過去に『エリザベート』を観劇して、「音楽の圧倒的なパワーを感じた」のだとか。「だからこそ、その音楽の力に負けずに歌いたいですし。これが世界初演なので、芝居も歌も自分たちで育てていって、オリジナルなものを作りたいです」。世界初演であることには、山崎の心にも期するものがある。「僕は再演から参加することが多かったので、世界で初めて自分たちで一から作れるというこの貴重な経験にワクワクしながら、しっかり作っていきたいと思います」。加藤もこう続ける。「この世界初演を、ベスの生き方に自分の人生と重ね合わせて何かを感じていただけるような、深みのあるものにしていきたい」と。そんな大きな責任感とともにふたりが挑戦する『レディ・ベス』。新たなミュージカルが日本で誕生する瞬間を、この目に焼き付けたい。

公演は東京・帝国劇場にて4月11日(金)にプレビュー公演開幕、東京公演は5月24日(土)まで。チケットは4月公演分は12月14日(土)一般発売、5月公演は12月14日(土)昼12時よりインターネット先行先着座席選択プリセールを実施。

取材・文:大内弓子