飛び込んだ「不倫」の関係

「要は、煮えきらないまま踏み切られた結婚生活に耐えられなくて、元カノの私に救いを求めたって感じですよね」

と、Aさんは落ち着いた声で言いました。

今だから冷静にそう考えられるのですが、そのときのAさんは「彼の落ち込む様子が上司から圧力をかけられる自分と重なってしまい、同情した」といいます。

改めてLINEのIDを交換し、やり取りを続けて平日の夜に食事する時間を重ね、「気がつけばふたりともその気になっていた」状態でホテルに入ったそうです。

「罪悪感がなかったとは言えませんが、結婚している彼を奥さんから奪うような感覚でもなくて、本当に流れに乗った感じでした。

彼が奥さんに気を使うような素振りがなかったのも、寝てはダメだっていうのを忘れる理由だったかもしれません」

「特に深く考えることもなく」飛び込んだ不倫。付き合っていた頃を思い出すような彼の様子も、Aさんの気持ちを後押ししていたのかもと感じます。

ホテルを出たあとで、当たり前のように次の約束をすることにも、違和感がありませんでした。

「それからも彼とはLINEでずっと話していて、本当に奥さんを大事にする気配がなかったですね。

夜になると『嫁がうるさいから』って返信に間が空くのですが、大変だなぁくらいにしか思っていませんでした」

世間で騒がれる不倫は、配偶者を裏切るひどさが強調され後ろめたいものという空気がつきまとうけれど、実際に既婚の元彼と関係を持ったAさんは、「奥さんに苦しめられる不幸な元彼と寝ているだけ」のような感覚だったそうです。