マイクロソフトと海洋事業を手掛けるJRCSが連携。日本マイクロソフト平野拓也代表取締役社長(左)とJRCSの近藤高一郎代表取締役社長

時間、場所を問わず、誰もが同じようなトレーニングを受けられる環境が整えば、訓練を受けることで得られる資格は取得しやすくなり、人材の育成はより効率的になる。さらに言葉の壁を越えることができれば、ビジネスの幅はワールドワイドに広がるはずだ。

時間も場所も言葉も越えて、製品・サービスを世界へ展開する方法とは?

その事例のひとつとなるのが、マイクロソフトと海洋事業を手掛けるJRCSが連携して進めている「リモートトレーニング」事業だ。両社は4月6日、海運・海洋産業におけるデジタルトランスフォーメーションの推進で連携すると発表。JRCSはMixed Reality(MR)とAIを活用し、海洋産業で「新しい価値」を生み出す企業を目指す計画で、4月1日には前段階として、「デジタルイノベーション推進室」を設立した。サービスは、2019年3月から開始する予定。

JRCSが進める「リモートトレーニング」とは、海洋事業者向けの遠隔トレーニングソリューション「INFINITY Training」のこと。下関本社のトレーニングセンターで船員向けの専門トレーニングを提供してきたが、これまでは海外顧客の参加が難しかった。

そこで、MRを用いた空間共有や、制御システムなどの実製品とデジタルコンテンツの融合、「Microsoft Translator」の翻訳機能を活用することで、時間や場所、言葉を越えて機器やシステムの操作などのトレーニングに参加できるようにする。

JRCSはこのほか、海洋事業者向けに遠隔でメンテナンス作業をサポートするソリューション、「INFINITY Assist(リモートメンテナンス)」のアプリを2019年内に商品化し、20年から順次コンテンツを拡大する予定だ。また30年には、HoloLensを装着したデジタルキャプテンと呼ばれる船長が、天候や海流の情報を3D海図で確認しつつ、複数の船を陸上から指揮する「INFINITY Command(オートノーマス)」を開始できるように計画を進めるという。35年には、船長のいない自動運航を実現するのが目標だ。

発表会で登壇したJRCSの近藤高一郎代表取締役社長は、「海運業界では船員が減少しつつあり、人材の不足が問題になっている。MRやAI、IoTを駆使して、働き方改革をすすめ、より魅力的な職場環境・ビジネスを整える。これまではグローバルが世界標準だったが、当社初の世界標準をつくり出していきたい」と意気込みを語った。

同じく登壇した日本マイクロソフト平野拓也代表取締役社長は、「今まではオフィスワーカー向けのソリューションが多かったが、今後は屋内外、国内外の現場で活躍させていきたい。今回は地方を拠点にした海運業者が、世界に向けて事業を展開できるように手を組む。これには大変意義がある」と話し、マイクロソフトのソリューションを活用すれば事業の世界展開ができるとアピールした。

HoloLensを使った事業の世界展開は、資格だけではない。個人向け製品や店舗向けソリューションなどにも活用できる。場所や言葉に縛られていた既存の製品が、具体的な魅力を世界へ発信できる日は遠くない。(BCN・南雲 亮平)

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