イーサン・ホーク (C)Kaori Suzuki

リチャード・リンクレイター監督、イーサン・ホーク、ジュリー・デルピーが三度、集結した新作映画『ビフォア・ミッドナイト』が明日から日本公開される前に、ホークのコメントが公開された。

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本作はホーク演じるアメリカ人ジェシーとデルピー演じるフランス人セリーヌの関係を描いたシリーズ最新作。1995年製作の『ビフォア・サンライズ』ではふたりが列車で偶然に出会い、夜明けまでのひとときを過ごした後に再会を誓って別れるまでを描き、9年後に製作された『ビフォア・サンセット』ではパリで再会したふたりがジェシーが乗る飛行機に向かうまでの間、お互いの現在の状況や9年前の想いについて語り合う姿を描いた。そしてさらに9年の月日が流れた2013年に満を持してシリーズの最終章『ビフォア・ミッドナイト』が製作された。

本作の最大の特徴は、主演のふたりと監督が共同で脚本を執筆していることだ。「リチャードには、もし誰かが何かに強く反対するのならそれはやらないで、別のアイデアを出さなければならないというルールがある」と語るホークは「もし誰かが夢中になっているアイデアでも、他のふたりが気に入らなければ、ふたりが納得するまで書き直さなければならない。例えば、僕がジェシーに言わせたらいいんじゃないかというセリフを提案する。するとジュリーは『世界中の人に嫌われるわ、そんなことを言ったら。不愉快だしバカみたい』と言うかもしれない。僕たちはお互いをよく理解するために助け合っているんだ。キャラクターを作り上げるためにね」と振り返る。

前2作では男女の“つかずはなれず”な絶妙な関係が描かれたが、新作でふたりは年齢を重ね、現実の問題に向かい合う。「僕たちはすべての可能性を考えたよ。他の人と結婚しているかもしれないし、偶然会うかもしれないし。自分たちがどういう映画にしたいのかという答えを出すのが、最も難しいことだった」。9年という時間を置くことで見えた、9年前には決して思いつかなかった新しい視点、自身の変化を巧みに脚本や演技に取り入れることで誕生した“現在のジェシーとセリーヌの物語”が『ビフォア・ミッドナイト』だ。

ちなみに、本作はシリーズの“最終章”とアナウンスされているが、ホークは「人生の中でも、映画に関することは充電に時間がかかるものだ。サンクト・ペテルブルグだね、次は。夏のサンクト・ペテルブルグ!」と笑顔でコメント。映画はひとまず完結しても、ジェシーとセリーヌの人生は続いていく。ホークら3人がシリーズに愛情を注ぎ続ける限り、新たな映画ができる可能性はゼロではなさそうだ。

『ビフォア・ミッドナイト』
1月18日(土)よりBunkamura ル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿バルト9ほか全国公開