撮影:五月女菜穂

リーディング『鳥ト踊る』が2023年11月27日(月)~30日(木)、東京・I’M A SHOWで上演される。ノゾエ征爾が作・演出を務める、男女2人による少し不気味で滑稽なサスペンス風コメディに、村井良大×優河、東啓介×斎藤瑠希の2ペアが挑む。

出演する村井良大は「男と女の微妙なニュアンスの違いやすれ違っている感覚が、自然な台詞まわしで表現されていて、読めば読むほど面白い脚本」と作品の魅力を語る。「今回はリーディングで、ト書き(※役者の動きを示した言葉)も演者が読むスタイルが採用されている。お客さんには情景が伝わりやすいと思うが、ト書きを読む分、テンポが平らになってしまうというか、ト書きでワンブレーキかかって笑いにつながらないことが起こりうるので、一つひとつのセリフやト書きをどうすればいいか。精査しながら作り上げている」と稽古の状況を明かしつつ、「たくさん笑ってもらいたいし、ちょっとゾッともしてもらいたい。見応えある朗読劇にできると思う」と語る。

一方、今回がほぼ初めての朗読劇だという優河。作品については「言葉が言いやすいというか、書いてあるまま言うだけで、その情景が出てくる脚本。読んでいるときも、“怖い”と“面白い”のギリギリの狭間を感じたが、真面目でキレイな村井さんの声を通すと、より“怖い”と思った」。そして、「最初に読んだときは最後の展開に『えー!』と思ったが、読んでいるうちに“かわいい”に終着した。ジェットコースターのように感情が揺れ、恐怖と笑い、そして愛くるしさを感じてもらえるように頑張りたい」と語っていた。

作・演出のノゾエは「この作品自体は何回かやってきていて、きっと何か面白いところがあるからこうやって生き残っている作品。『最悪な事態を抜けていった先には、純愛があるんだ』と思うぐらい、深い愛を感じながら書いた」と作品について話した上で、「朗読劇というとかしこまった雰囲気を想像されるかもしれないが、間違いなく臨場感あふれる舞台になると思いますので、ぜひ劇場に触れに来てほしい」と呼びかけた。

村井と優河のペアの稽古場を見学した。脚本を譜面台に置きながら、セリフを読む2人。リーディングと言いながらもじっと椅子に座っているわけではなく、時に小道具を使ったり、時に身振り手振りを交えたりする演出で、“声の芝居”以上の面白みがあった。本番ではどんな仕上がりを見せてくれるのか楽しみだ。

取材・文:五月女菜穂