撮影:源賀津己

歌や舞踊、豪華な衣裳と伝統芸能をふんだんに取り入れた、新年にふさわしい舞台、詩楽劇『沙羅の光』~源氏物語より~。紅ゆずるがついに宝塚時代から切望されていた光源氏を演じる。紅ゆずるに話を聞いた。

源氏物語の印象について聞くと、「源氏物語の印象は、“パニック・ラブ・ストーリー”(笑)。光源氏は13人の女性の誰一人とも愛が完結せず、次から次へと移っていく。それって大パニックじゃないですか。私は宝塚を退団した時、男役を演じることは金輪際ないと思っていました。でも在団中に光源氏をやってほしいという声を多数いただき、和物なら光源氏をやりたいという思いはずっとありました。ただ、光源氏は私の中では中性的な存在です。妖艶で魔性の持ち主で、人間というよりユニコーンのようなイメージもあって。もちろん人間らしいから恋多き男なのでしょうが、六条御息所が生霊となるような要素を光源氏自身も持っていたかもしれない。そんな人を超えたような部分を表せたらと考えています。」と答えた。

また、「もう一つ、光源氏の誰もが憧れる、際立った外見の美しさは大切にしたいです。」という。「いくら女性にうつつを抜かしても、顔が良かったら許せたりもする(笑)。その美しさなしにこの物語は成り立たないでしょう。所作を尾上菊之丞さんに教えていただいて、この世のものとは思えない美しさを醸し出せたら。」と意気込む。

さらに、すでにビジュアルも解禁されているが、「お衣裳が素晴らしいです。金糸を使って再現された本物の装束で、とても重厚。実際に着てみるとかなり重みがあり、昔の人の感覚を体感できたりもします。私は役によって衣裳に重さを持たせたることもあり、『霧深きエルベのほとり』の船乗りの役では足元が重い靴をあえて履いていました。今回もこの装束の重さが光源氏の心情や時代背景と重ねればいいなと思っています。」とも。

最後に、「和歌の朗読、和楽器の演奏、日本舞踊など、伝統芸能が取り入れられているのも素敵ですね。私は宝塚時代、三味線の成績がすごく良かったんです。だから源氏物語の時代にまだ三味線がないのが残念(笑)。ですが、いろんなことを教わりながら苦しみたい。お正月公演にふさわしい立ち振る舞いができるように頑張ります。」と締めた。

2024年の抱負については、「舞台だけでなく映像でもお芝居したいです。そしてバラエティー番組にも出たいですね。バラエティーの現場って実はハードで、流れを読みつつ、いつ何時でも対応できる瞬発力が求められます。それでも初めて「踊る!さんま御殿!!」に出た時、とても楽しくやりがいを感じました。私は人に笑ってもらうことが大好きなので、チャンスがあればぜひ挑戦したいです。」と意気込んだ。

取材・文:三浦真紀
ヘアメイク:miura(JOUER)
スタイリスト:鈴木仁美