『ダラス・バイヤーズクラブ』(C)2013 Dallas Buyers Club, LLC. All Right

マシュー・マコノヒーが主演を務める映画『ダラス・バイヤーズクラブ』が今週末22日(土)から公開される。本作でマコノヒーは多くの映画賞を受賞し、オスカー候補にもなっているが、共演したジャレッド・レトも各映画賞の助演男優賞を受賞している。音楽家、監督としても活躍するレトはなぜ、久々に俳優として復帰したのだろうか? 本人のコメントが届いた。

『ダラス・バイヤーズクラブ』動画

本作でマコノヒーが演じるロン・ウッドルーフは不特定多数の異性と交渉しているロデオ・ボーイ。彼はある日、HIV陽性であることと余命30日を宣告されるが、不屈の精神でエイズについて学び、アメリカには承認薬が極めて少ないことから自身で密輸することを思いつく。そんな折に、かつぎこまれた病院で隣のベッドにいたのが、レト演じるトランスジェンダーのレイヨンだ。ロンは、いつしかレイヨンを計画のパートナーに選び、ふたりで会員制の闇販売組織“ダラス・バイヤーズクラブ”を設立する。

「初めて脚本を読んですぐこの役に惚れ込んだ。“絶対に演じないと”とね」と振り返るレトは、自身が演じたレイヨンを「生命力と夢に満ち溢れていて何事にも一生懸命だし、人の気持ちが分かる心の大きな人だ。そしてレイヨンは最高のユーモアの持ち主なんだ。困難や障害を乗り越えるために冗談を言うのさ。現実の人々もそうやって苦境に耐え抜くものだろ」と分析する。確かにレイヨンはスマートで行動的、相手との交渉に長け、愛する恋人もいるが、トランスジェンダーとして生きることを選んだことから家族とは離縁状態で、心の哀しみと孤独を抱えている。レトはそのすべてを繊細な演技で見事に演じ、さらに“見た目”も追求するため18キロも減量した。「役作りのためにかなり体重を落とした。レイヨンの危うさを表現するためにね。自分を消す助けになったし、他にも効果があった。常に作品のことを意識することができたから自分の立ち位置を見失わずに済んだんだ」。

ちなみにレトによると「減量の本当の意味は見た目じゃない」という。「体の変化に合わせて、自分のすべてが内面から変わってくる。気力や体力も歩き方もしゃべり方に呼吸の仕方まで。だから絶対に必要だったんだ」。ちなみにマコノヒーもロンを演じるために壮絶な減量に挑んだ。「マシューは全身全霊を懸けてロンを演じていた。ただ言葉じゃなく態度で語ってた。ものすごい減量や緻密な役作り……“いい映画を作る”という決意が感じられたよ。それを見たのも出演した理由のひとつだ」。

役のため、作品のためにすべてをかけたマコノヒーとレトは『ダラス・バイヤーズクラブ』を通して、どんな人物のどのような生き様を見せてくれるのだろうか? 全世界で絶賛を巻き起こした作品がいよいよ今週末、公開になる。

『ダラス・バイヤーズクラブ』
2月22日(土)より、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー