(左上)市村正親、仲間由紀恵(左下)横山幸汰君、谷合純矢君

日本音楽事業者協会の創立50周年を記念して製作された長編アニメーション『ジョバンニの島』が、3月に開催される北米最大の児童映画祭「ニューヨーク国際児童映画祭」のコンペティション部門に出品されることになった。今年で17回を迎える北米最大の児童映画祭で、2012年には『ももへの手紙』が長編大賞を受賞しており、本作にも国際的な注目が集まりそうだ。

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本作は1945年に北方四島で起こった実話を基に、ソ連軍の進駐によって引き起こされる島民たちの悲劇と、島で暮す幼い兄弟のドラマを描く長編アニメーション。22日には全国で封切られ、東京・新宿ピカデリーで声優を務める市村正親、仲間由紀恵、子役の横山幸汰君と谷合純矢君、原作・脚本の杉田成道氏、西久保瑞穂監督が初日舞台あいさつに立った。

厳格な父親を演じる市村は「僕は厳格じゃないですが、そのあたりは演技力でカバーした」と笑いを誘い、「僕も2人の子どもがいる父親ですから、目が真っ赤になってしまうシーンもあった。いい作品だなと思います」とアピール。当地の教師役を務めた仲間は「日本とロシアの子どもたちが一緒になって歌うシーンが印象に残っている。暗い時代でも、子どもたちは手を取り合って、仲良くしている」としみじみ話していた。

杉田氏は北海道・根室で行われた先行上映に立ち会い、仲間演じる教師のモデルとなった女性と対面したといい「現在92歳だそうで、映画を見て、当時そのままのシーンがあったと話してくださった」。西久保監督は当時を知る男性を取材し「2日に1回くらいお電話をしてしまった」と入念なリサーチを振り返った。

『ジョバンニの島』
公開中

取材・文・写真:内田 涼