チャン・ヒョクとイ・ダヘ主演ドラマ『チュノ~推奴~』の撮影地

大雄殿から川のほうへ向かうと、高さ9.4メートルの大きな多層塼塔が現れる。

花崗岩で作った基壇の上に土で焼いたレンガが積まれている。少々いびつだが、不思議な調和を見せている。国内に数基しか残っていない多層塼塔であり、高麗時代のものとしては唯一の文化財だ。

昔は水上交通で漢陽(今のソウル)に向かっていた船頭たちが、川に立ち込めた霧で視界が遮られると、高くそびえる多層塼塔を見て自分の位置を確かめたという。

この逸話を知ると、古びた塔が頼もしい灯台のように思えてくる。

神勒寺の美しさは、川沿いにある。広々とした岩の上のあずまや・江月軒。その隣にある三層石塔。その脇を静かに流れる驪江。

ここは高麗時代末期、羅翁禅師(1320~1376)が鬼籍に入り、荼毘に付されたところだ。

羅翁禅師の号から取った江月軒は夕暮れどきや月明りの夜、あるいは夜明けに霧が立ち上るときに映える。

江月軒と驪江

江月軒という名にふさわしく、月が明るく満ちたとき、月光に照らされた驪江と向い側の砂浜が一幅の絵を成したという。

ここはチャン・ヒョクとイ・ダヘ主演ドラマ『チュノ~推奴~』の撮影地でもある。

私も江月軒に立って川向うを望むが、月の光に照らされていたはずの砂浜は見えない。近現代の河川事業によって消えてしまったのだ。

それでも、あずまやに座って驪江を眺めながら川風に吹かれるのは乙なもの。悠々と流れる驪江がすべてを受け入れてくれるようだ。

この風光には、文筆家でもあった羅翁和尚が残した「青山歌」が似合う。

青山は私を見て 黙って生きろと言う 靑山兮要我以無語

青空は私を見て 清い心で生きろと言う 蒼空兮要我以無垢

欲も怒りも脱ぎ去り 聊無怒而無惜兮

水のように風のように生きて行けと言う 如水如風而終我

驪州は利川と並ぶ陶芸の里

驪州陶磁器文化センターの屋外イベントで陶磁器を作る驪州の陶芸家

京畿道の驪州・利川・広州は、韓国の陶芸文化を歴史的に俯瞰できるトライアングル地帯だ。

驪州にある『陶磁器文化センター』には陶芸体験場と3つの展示館があり、芸術作品から小物まで実物を見てさわって、買うことができる。

ここで毎年10月に開催される「驪州陶磁器フェスタ」には、千年続いてきた陶磁器の里・驪州で丹精込めて陶磁器を焼き続けている40余りの工房が参加している。

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2024年はぜひ出かけてみてほしい。

鄭銀淑:ソウル在住の紀行作家&取材コーディネーター。味と情が両立している食堂や酒場を求め、韓国全土を歩いている。日本からの旅行者の飲み歩きに同行する「ソウル大衆酒場めぐり」を主宰。著書に『美味しい韓国 ほろ酔い紀行』『釜山の人情食堂』『韓国酒場紀行』『マッコルリの旅』など。株式会社キーワード所属。