『ゼロ・グラビティ』(c) 2013 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC.

第86回アカデミー賞授賞式が2日(現地時間)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターで行われ、『それでも夜は明ける』が作品賞をはじめ3冠に輝いた。奴隷制度を真正面から描いた本作の快挙に、異論を唱える声はほぼないはず。一方で、革新的な映像体験で世界をうならせたアルフォンソ・キュアロン監督の『ゼロ・グラビティ』が監督賞など最多7部門を受賞し、オスカー像の数では圧勝する結果となった。

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近年まれに見る豊作で、大混戦の様相を呈した今年のアカデミー賞。なかでも頭ひとつ抜きん出た『それでも夜は明ける』と『ゼロ・グラビティ』の対決は熾烈を極めた。当初の予想通り、撮影賞、視覚効果賞、録音賞といった技術賞は『ゼログラ』がほぼ独占。さらに統計上、作品賞と同時受賞するケースが多い監督賞&編集賞にも輝き、授賞式の途中には「作品賞も?」という空気が流れる勢いだった。最終的には昨年同様、作品賞と監督賞の“痛み分け”で決着した形だ。

もちろん、俳優賞も忘れてはいけない。ともに過酷な役作りで観客を圧倒した『ダラス・バイヤーズクラブ』のマシュー・マコノヒー、ジャレッド・レトがそれぞれ主演男優賞、助演男優賞を受賞。ケイト・ブランシェットが主演女優賞、新星のルピタ・ニョンゴが助演女優賞に輝いた。4人とも同賞を受賞するのは初めて(ブランシェットは『アビエイター』で助演女優賞を受賞している)。歴史的な著名人ではなく、それぞれに極限状態を生き抜こうとする“名もなき人”を演じている点も印象的だ。

また、長編アニメ賞と歌曲賞を受賞した『アナと雪の女王』の“無敵っぷり”もあっぱれの一言だ。全世界興収はいまや10億ドルに迫る勢いで、サントラの世界売上も400万枚目前。2013年のハリウッドにおいて、評価&興収の両面で大勝した同作こそ真の勝者なのかもしれない。

【第86回アカデミー賞】
作品賞:『それでも夜は明ける』(スティーブ・マックイーン監督)
監督賞:アルフォンソ・キュアロン『ゼロ・グラビティ』
主演男優賞:マシュー・マコノヒー『ダラス・バイヤーズクラブ』
主演女優賞:ケイト・ブランシェット『ブルージャスミン』
助演男優賞:ジャレッド・レト『ダラス・バイヤーズクラブ』
助演女優賞:ルピタ・ニョンゴ『それでも夜は明ける』
長編アニメ映画賞:『アナと雪の女王』