(左から)品川ヒロシ監督、藤原竜也

品川ヒロシ監督が、メガホン3作目に選んだのは木下半太の同名小説を映画化するクライム群像劇『サンブンノイチ』だ。人生の一発逆転をもくろむ男女の丁々発止の“だまし合い”を、スリルとユーモアたっぷりに描き出す本作。エイプリルフールである4月1日(火)の封切りを前に、品川監督と主演を務める藤原竜也が新たなチャレンジにかけた思いを語った。

その他の写真

自著を原作にした『ドロップ』『漫才ギャング』で興行的な成功を収めた品川監督は、今回初めて他者による小説と四つに組み、脚本も手掛けた。「ゼロをイチにするのは大変な作業。だから最初は原作があって、ラクだなと思えた」というが、「実際脚本を進めていくと、クリアしないといけない課題が次々と出てきて…。一冊の小説を2時間に収めるのはもちろん、文字で書かれたトリックが映像になった途端バレてしまう難しさがありました」と苦労を告白。それでも「完成した今となっては、のど元過ぎれば…じゃないですけど、脚色の工程は楽しいものでした」と自信を示す。

銀行強盗を成功させたキャバクラ店長のシュウ、ボーイのコジ、常連客の健さんの3人が手にした数億円の分け前をめぐって駆け引きを繰り広げる。シュウを演じる藤原にとって、コジ役の田中聖、健さん役の小杉竜一(ブラックマヨネーズ)という“異業種”との共演は大いに刺激になったという。「小杉さんは芸人さんですが、俳優という枠の中で僕ら3人がまったく違うアピールをするのが面白かったですね。会話劇が軸になるから、3人のテンポや掛け合い、それに品川監督が意図する勢いもあるので、互いを意識しながら、現場の流れに必死で食らいついていました」と藤原。実力派としてキャリアを積むなかで「僕にとってはまったく新しいジャンルだったし、俳優として発見もたくさんあった。いいタイミングで、貴重な体験をさせてもらった」と振り返る。

「藤原竜也という役者さんに対し、絶大な信頼があった」(品川監督)、「とにかくすごく面白い。それは台本を読んだ第一印象から変わらない」(藤原)。互いへの敬意と信頼も『サンブンノイチ』の大きな強みだ。

『サンブンノイチ』
4月1日(火)から全国ロードショー

取材・文・写真:内田 涼