久本雅美と梅垣義明  取材:源 賀津己 久本雅美と梅垣義明  取材:源 賀津己

昨春の『ラスト』で全体公演に一旦終止符を打ち、充電期間に入ったワハハ本舗。実はその楽屋で、創立メンバー6名による新たなレーベル“完熟ワハハ”が始動していた。あえて客席数294のシアターサンモールを選んで5月末から上演される『太陽と恋とポッと出のベテラン』について、久本雅美と梅垣義明に話を訊いた。

WAHAHA本舗PRESENTS 完熟ワハハ『太陽と恋とポッと出のベテラン』チケット情報

柴田理恵の「年寄りだけでやってみない?」という提案に、久本、佐藤正宏、梅垣、すずまさ、なんきんが応じて誕生した“完熟ワハハ”。今回の公演のモチーフは、創立4年目の1986年に実際に起きたサンフランシスコ公演未遂事件だ。「生まれて初めてパスポート作って、お金も貯めていざ行こうってときになって、何だか怪しいぞって気が付いて止めたんです。それが案の定詐欺で。もし、あの時詐欺にひっかかっていたら……という設定はどうだろうか? とみんなで話しているところです。きっと劇団は解散になって、たとえば梅ちゃんは故郷でスナックやってたりとか、私はゆるキャラをやってるとか(笑)」と久本。

主宰の喰始が「台本書きません。これからの役者は作家性がないと生き残れませんから」と宣言して以来、役者たちが話し合って作品を形づくるのがワハハスタイル。「あれが正解、これが不正解って自分たちで考えて、痛い目も見る。それが知らない間に自分の力になってたんだって、プロデュース公演をやってみて気付きました」と久本が話すと、梅垣も「外で仕事をするとワハハの良さがよく分かる。比べるものがあるから、30年ここにいられるんだと思う」と応じる。

『太陽と~』のコンセプトを練るため、梅垣は1985年に下北沢ザ・スズナリで上演した第3回公演『底抜け』に目を通したという。「空気の密度が違うし、自分が桟敷席にいたらすごい緊張感だと思う。今でこそ僕ら、大きいホールでやらせていただいてますが、あんなにスマートでクールじゃないワハハもあるんですよ」。

それを受けて「だから今回サンモールでやるんだもんね。ちょうどいいキャパだと思う」と久本。「せっかくだから、昔からのコアなワハハファンが“戻って来たね!”と思うようなことをやりたい、って私が言ったら、みんな乗ってくれました。50過ぎたおっちゃんとおばちゃんが(笑)、いよいよワハハの真髄をさらけ出しますんで、たっぷり味わっていただきたいです」

公演は5月28日(水)から6月1日(日)まで新宿シアターサンモールにて。6月1日(日)16:00は追加公演。チケットは発売中。

取材・文:山上裕子