妻夫木聡

俳優の妻夫木聡が22日、ユナイテッド・シネマ豊洲で行われた主演作『ぼくたちの家族』のプレミア試写会に出席した。突然下った母親の余命宣告をきっかけに、父親とふたりの息子たちが困惑しながら、新しい家族の形を模索するヒューマンドラマ。妻夫木は「毎日が辛く苦しかった。全然眠れなくて」と撮影中の胸中を明かし、「家族には答えがないからこそ、この映画で考えてもらえたら」とアピールした。

試写会の模様

プレミア上映会には長男役の妻夫木をはじめ、弟役の池松壮亮、原田美枝子、長塚京三、黒川芽衣、石井裕也監督、原作者の早見和真氏が駆けつけた。池松にとっては、所属事務所の先輩にあたる妻夫木との念願の共演が実現し「うれしかったですね。10年くらい前はよく似ていると言われて、勝手にシンパシーも感じていた」。一方、妻夫木も「壮亮は一番共演したかった俳優。何も言わずについてきてくれる最高の共演者だった」と感激していた。

原田は脳腫瘍という重い病気を抱えながら、家族を思い続ける母を熱演し「やり過ぎてしまうと気持ちが覚めちゃうので、(演技の)加減が難しかった」と振り返った。長塚との夫婦役は過去に数回あるといい、長塚は「今回の夫婦役が一番良かった」と手応えを示した。

第37回日本アカデミー賞で『舟を編む』が最優秀作品賞他最多6冠に輝いた石井監督は、「原作の熱量に負けないよう、取り組まないとダメだと思った。表現はしにくいが、テーマに真摯に向き合って、すごい映画を作ったという自負がある。達成感を感じています」と自信のコメント。実力派が揃うキャスト陣について「達者なだけじゃなく、本当に家族に見えるような皆さんを厳選させてもらった」といい、特に妻夫木について「悩んで、物憂げな表情がカッコいい」とたたえた。

『ぼくたちの家族』
5月24日(土)新宿ピカデリーほか全国公開

取材・文・写真:内田 涼