(左から)トラヴィス・ファイン監督、アイザック・レイヴァ

ミニシアター系作品として異例の大ヒットを記録している感動作『チョコレートドーナツ』を手がけたトラヴィス・ファイン監督と、劇中で名演を見せたダウン症の俳優であるアイザック・レイヴァが25日、東京・シネスイッチ銀座で舞台あいさつに立った。

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4月19日に同劇場で封切られ、『かもめ食堂』以来の初日全回満席・立見を記録し、昨年記録的大ヒットとなった『クロワッサンで朝食を』の初日2日目動員の興行収入も抜いた本作。現在もSNS上での口コミでその感動が伝えられ、連日盛況を続けている。公開6週目でのプロモーション来日は異例だが、「ぜひ日本の皆さんにお礼を伝えたい」というふたりの意向で実現。初来日を果たしたレイヴァは「コンニチワ! 初めてやって来た日本をとても気に入っています」とあいさつした。

実話をもとにし、各国の映画祭で「観客賞」を総なめにした感動のヒューマンドラマ。1970年代のカリフォルニアを舞台に、同性愛者カップルが育児放棄されたダウン症の少年マルコ(レイヴァ)を育てようと奮闘するが、世間の差別と法の壁に阻まれてしまう…。ファイン監督は「アラン・カミングやギャレット・ディラハントといったキャストに恵まれた。何よりここにいる“スーパースター”のおかげだよ。彼はすごい才能の持ち主なんだ」とレイヴァを称えていた。

客席には2度目の鑑賞だという12歳の男の子もおり「泣いてくれたんだって? でも笑うシーンもあったよね。人生には喜びと悲しみがあるってことを感じてもらえればうれしいよ。一生君のことは忘れないよ」(ファイン監督)。

将来の夢を聞かれたレイヴァが「アクション映画に出たり、ブロードウェイの舞台に立つこと」と語ると場内は拍手喝采。また、ファイン監督は「昨晩、日本を舞台にしたアイザック主演の映画のアイデアが浮かんだんだ。きっとまた皆さんに会えるはず」と再タッグ&再来日に期待を寄せていた。

『チョコレートドーナツ』
公開中

取材・文・写真:内田 涼