「娘役を極める」月川悠貴が考えるジュリエットとは

2014.6.3 17:17配信
月川悠貴 月川悠貴

演出家・蜷川幸雄がシェイクスピア作品を手掛ける新企画「NINAGAWA × SHAKESPEARE LEGEND」が彩の国さいたま芸術劇場で始動した。第一弾としてオールメール(男性俳優のみ)による『ロミオとジュリエット』を上演する。これまでにも“彩の国シェイクスピア・シリーズ”の中で人気を博してきたオールメールの舞台だが、新企画で注目すべきは、小ホールの緊密空間でシェイクスピアに立ち向かう、成長著しい若手俳優たちの挑戦だ。近年目覚ましい活躍を見せる実力派、菅田将暉がロミオ役を担い、持ち前の瑞々しい表現力で蜷川舞台に初参戦する。そしてジュリエットを演じるのは、数々のオールメールの舞台で艶やかな存在感を放ってきた月川悠貴。蜷川の信頼に応えてさまざまな娘役を体現してきた月川に、シェイクスピア劇の代表的ヒロインに挑む今の心境を聞いた。

舞台『ロミオとジュリエット』チケット情報

「とてもメジャーな作品なので、観客の皆さんが持っている、キャラクターに対する固定観念が強過ぎて、自分なりのジュリエット像を作っていった時に受け入れてもらえるかどうかが不安ですね」。控えめな発言のようで、その言葉の裏には強気な攻めの視線が隠されていた。「これまでいくつかの『ロミオとジュリエット』の舞台を観てきたけれど、いつも疑問点があって。それを今度の舞台でクリアしたいんです」。そう語る彼が、勝負を賭けて作り上げたいジュリエット像とは……。

「一番の疑問点は、ジュリエットは本当に純粋なのかということ。親が決めたとはいえ、婚約者がいながらロミオのもとにいってしまうのは、まったくの純粋とは言えないんじゃないかと思うんですね。ジュリエットのかすかな不純さを出していくほうが、物語の真実に近づけるような気がします。演出家と相談して、自分が考える『ロミオとジュリエット』を見せられればいいなと」

俳優として活動する前は演歌歌手だったが、一時は芸能の世界から身を引こうと決意し、蜷川に相談。そこで引き止めてもらえたことで、再び表現者としての自身の可能性を探り始めたという。「やるからには誰にも負けない何かを作ろう、そう考えた時に、娘役を極めようと思ったんです」。

以降、出演作の3分の2は娘役として活躍。中でもオールメールの舞台は「特別なシリーズ」と心に置いている。娘役を演じるうえでの信念は「まず、絶対的に美しいこと。そして必ず芯が通っていること」。ブレない姿勢で、誰もが息をのむ美しさを表出する。

「お客さんに、“ああ、ロミオとジュリエットはやっぱりこれだよね”と言ってもらえるような作品にしたい」。可憐な容姿から垣間見える魔性。月川が目指すヒロインの、真の姿を見届けたい。

公演は8月7日(木)から24日(日)まで彩の国さいたま芸術劇場 小ホールにて。チケットの一般発売は6月7日(土)午前10時より。

取材・文:上野紀子

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