アンジェリーナ・ジョリー (C)Hiroyuki Tsutsumi

アンジェリーナ・ジョリー主演作『マレフィセント』が間もなく公開になる。1959年製作のディズニー・アニメーション『眠れる森の美女』でプリンセスに呪いをかけたマレフィセントの“知られざる物語”を描いた本作で、ジョリーは観客に“力の選択”の重要性を訴える。来日時に話を聞いた。

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『眠れる…』に登場したマレフィセントは恐ろしいキャラクターで、生まれたばかりのオーロラ姫の洗礼式に突然現れ、彼女に“永遠の眠り”の呪いをかけてしまう。しかし、ジョリーは「今回の映画を観ると、洗礼式に登場するマレフィセントの見え方がまったく違ったものになるでしょうね」と予告する。「マレフィセントは“怒り”が力の源泉になっていますが、本当は愛情や誰かを守りたいという気持ちや、母性から来る力の方が、怒りや憎しみから来る力よりも強いんです」。あの恐ろしいマレフィセントに一体、どのような感情が宿っているのかは映画を観てのお楽しみだが、ジョリーは「“怒り”も“愛情”も両方とも誰もが持っている力だと思います」という。「私たちはいつも“選択”をしているのです。人に危害を加えてしまう力か? それとも人を助ける力か? 私たちはいつも選択をして、強さというものを得ているのです」

これまでの恐ろしくて狂気に満ちたマレフィセント像を多面的に捉えて脚本を執筆したのは、『ライオン・キング』『アリス・イン・ワンダーランド』も手がけた脚本家リンダ・ウールヴァートンだ。「純粋無垢な赤ん坊に呪いをかけるほどヒドいことはないですよね? リンダの素晴らしいところは、そんなマレフィセントの気持ちを観客に理解させることができるのか? 観客をマレフィセントの味方につけることができるのかに挑んだことでしょう。この脚本には人々のマレフィセントに対する認識を変えてしまうドラマが描かれています」。観客は、赤ん坊に呪いをかけるという許しがたい行為におよんだマレフィセントのことを理解し、許容することができるのだろうか? 「できることならそう言いたいですけど、私たちの世界が“理解と寛容さ”に満ちているとは残念ながら言えません。でも、現代では“理解”や“寛容さ”に関する議論の場は増えていますし、そのことに対する意識は高くなっていると思います」

本作は単に“悪役にも実は事情があった”というレベルを超えたドラマがしっかりと描かれている。許せない相手を理解し、愛情を抱くことはできるのか? 憎悪が原因でおかした罪をつぐなうことはできるのか? ジョリーの近年の活動や私生活の変化は、本作の投げかけるメッセージと密接に関連しているようで、平和活動で世界中をまわっていることに触れ「人は誰しもが子供だったわけで、親がいて、今は自分が親になっているかもしれません。そのように家族や母性、父性がちゃんとあれば、紛争やいがみ合いというものがなくなって、本当の気持ちで関わっていけるのだと思っています」と語っていた。

『マレフィセント』
7月5日(土) 2D/3Dロードショー