『収容病棟』 (C)Wang Bing and Y. Production

中国・雲南省にある精神病院の内部をおさめたドキュメンタリー映画『収容病棟』が公開されている。ナレーションやインタビューもなく、院内で生きる人々を237分にわたって記録した重厚な作品だが、ワン・ビン監督はなぜ、この作品を世におくりだしたのだろうか? 貴重なインタビュー映像が公開になった。

インタビュー映像

ワン・ビン監督は『鉄西区』『三姉妹 雲南の子』『無言歌』など、新作を発表するたびに世界で大きな反響を巻き起こす映画作家で、本作でも過去の作品同様、説明的な描写を極限まで廃し“そこで生きる人々の息吹”をカメラにおさめている。

本作の舞台になっている精神病院は閉鎖的で、入院者以外の人間が気軽に近づくことはできない。監督は「精神病患者の生活の謎にひきつけられた」という。そこで監督とスタッフは病院内で撮影を開始するが、最初は緊張していたという。「周りはすべて精神病患者で、それぞれ病歴は異なりますし、殺人や他の原因で収容された人もいたようです」。しかし、監督たちは撮影を続ける中で患者たちと交流を深めるようになったそうだ。「今回、精神病患者を撮影してわかったのは、我々の誰もがある日、ある時に精神病を患う可能性があるということです」。

映像にはワン・ビン監督が日本の観客に向けたメッセージなども収録されている。

『収容病棟』
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