ギャレス・エドワーズ監督

今年“還暦”を迎えたゴジラの最新作となるハリウッド版『GODZILLA ゴジラ』が世界中で大ヒットを記録している。メガホンを執ったのはギャレス・エドワーズ。「どこよりもまず日本でのヒットを望む」と語る監督が日本公開を前に思いを語った。

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「僕がゴジラを選んだのではなく、ゴジラが僕を選んでくれたんです(笑)」。なぜ世界中に数多く存在するモンスターの中でゴジラに惹かれたのか? という問いに対する彼の答えである。デビュー作『モンスターズ/地球外生命体』もタイトルから分かるようにモンスター映画。そんな監督の“怪獣愛”が『GODZILLA ゴジラ』には散りばめられている。

演出において特に「最も誇りに思っている」と語るのが、ゴジラを映画開始から1時間近く登場させず、観客をじらすようにその姿、全貌を少しずつ見せていくという手法。「開始2分で姿を見せては、発展がありません。徐々に盛り上げ、ピークを物語のクライマックスに持ってきて、そのままエンドクレジットという流れを大切にしました。僕はこれを“映画的前戯”と呼んでます(笑)」。

原爆や原発といった歴史的な、そしていまなお日本が抱える問題にも逃げることなく切り込んでいる。「オリジナル版『ゴジラ』がいまでも愛されるのはなぜか? それはSFというファンタジーの形で、意義あるメッセージを発しているからでしょう。限られた人しか見ない芸術性の高い作品においてではなく、こうしたポピュラーな大作で重要な問題について訴えることは非常に重要なことだと思っています」。

怪獣と人間、双方の「視点」と「感情」を描くことで観る者の心を揺さぶる。その“原点”についてこんなエピソードを明かしてくれた。「人生とは複雑で、悪に見えるものが、視点を変えれば善にもなるんです。こどもの頃に見た『スター・ウォーズ ジェダイの帰還』で、ランコアという怪獣が(主人公の)ルークと戦うんです。最初は『やっつけろ!』と思って見てたけど、それが殺された時、世話係だった男が泣くんです。こども心にランコアが彼の大切なペットだったと気づいて、人生って単純じゃないなと思いました。そういうディティールが大好きなんです」。

既に『スター・ウォーズ』シリーズのスピンオフを手掛けることも決定しており、加えて早くも本作の続編のうわさも。次なる構想も気になるが、まずは本作がこの日本でどのように受け止められるのか? 楽しみに待ちたい。

『GODZILLA ゴジラ』
7月25日(金) 2D/3D(字幕スーパー版/日本語吹替版)公開

取材・文・写真:黒豆直樹